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2025年から専業主婦の年金廃止?家計や生活への影響どんなことがある?【後編】

    

こんにちは、編集者Mです。前編にも申し上げましたように、政府による2025年からの専業主婦の年金廃止の検討は、実際に発令されたら多くの家庭に影響を及ぼす重要な変化を引き起こします。後編では、専業主婦の年金廃止が家計や生活に与える具体的な影響や、その対策について解説していきます。新たな制度変更により、どのような課題や機会が生じるのかを見ていきましょう。

3.専業主婦や専業主夫の年金制度である「第3号被保険者」廃止が検討される背景とは?

3-5.働き方やライフスタイルの変化が専業主婦の年金制度に影響を与えています

1985年に専業主婦の年金が導入された当時は、夫が一人で家計を支え、妻が家庭に専念するという家族モデルが一般的でした。しかし、近年では女性の社会進出が進み、多くの女性が仕事と家庭を両立する働き方を選択しています。このような夫婦両者が収入を得ている世帯が増える中で、専業主婦の年金制度の存在意義が問われています。夫婦両者が保険料を納めることが一般的になるにつれて、第3号被保険者制度の廃止を検討すべきではないかという議論が提起されています。

3-4.公平性は保たれているのかという議論~会社員・公務員以外の配偶者

会社員や公務員の配偶者は、「第3号被保険者」として社会保険料を支払わずに将来の年金を受け取れます。一方で、第1号被保険者の配偶者は、自身で社会保険料を負担しなければなりません。この状況により、「会社員や公務員の配偶者だけが保険料を負担せずに年金を受け取れるのは不公平だ」と感じる方が多くいます。
そのため、専業主婦の年金を廃止する方向に進んでいると考えられます。また、第3号被保険者制度の廃止には、独身者の増加も関連しています。第3号被保険者が納めるべき保険料の一部は、配偶者を持たない第2号被保険者が負担しているため、この状況に不公平を感じる声も少なくありません。そのため、制度の見直しに向けた議論が進んでいます。

4.専業主婦や専業主夫の年金、すなわち「第3号被保険者」の制度の行方はどうなるのか

「専業主婦の年金を見直すべき」という議論は2000年頃から繰り返されていますが、現時点では具体的な制度改正はまだ決まっていません。これまでに提案された改正案には、以下のようなものがあります。

  • 第3号被保険者も保険料を負担する
  • 第3号被保険者がもらえる年金を減額する
  • 厚生年金の適用拡大により第3号被保険者を減らす

これらの案はいずれも、保険料の負担が増える一方で将来もらえる年金が増えないか、減少する可能性が指摘されています。また、育児や介護のために専業主婦となることを余儀なくされている方もいるため、多くの視点から慎重な検討が求められます。

2025年には5年に1度の年金制度改革が予定されており、専業主婦の年金制度の改正や廃止が決定される可能性があります。今後の動向に注目していきましょう。

5.さて専業主婦の年金がなくなった!実際には家計にどのような影響があるでしょうか?

では具体的に、専業主婦・主夫の年金が廃止された場合、どのような影響がでてくるでしょうか。社会保険料の負担が増えたり、将来の年金受給額が減少することで、生活が苦しくなってしまう可能性が大きくでてくるでしょう。
そのような状況にならないように、専業主婦の年金の廃止によって保険料の負担額がどれくらい増えるのかをシミュレーションしてみることが大切です。近い未来において、家計のバランスを保ちながら、将来の生活を安定させるためにも、今から考えておくことが重要です。

専業主婦の年金が廃止されると、パートで働く方は勤務先の社会保険に加入する必要が生じます。この際、厚生年金保険料や健康保険料、雇用保険料などが負担されることになります。これらの社会保険料の計算は、標準報酬月額を基準に行います。標準報酬月額とは、その年の4~6月の3ヵ月間の給料の月平均額を指します。この中には、基本給だけでなく、通勤手当や家族手当、住宅手当なども含まれますが、臨時的な支給物は含まれません。算出した標準報酬月額を社会保険の等級区分に適用することで、保険料が決定されます。
たとえば、標準報酬月額が7万5,000円(年収90万円)の場合、厚生年金保険は1等級、健康保険は3等級となります。また、雇用保険料は給与総額に対して雇用保険料率をかけて算出されます。この率は一般的には0.6%であり、農林水産業や建設業の場合は0.7%になります。

5-1.専業主婦の年金が廃止された場合、パートで働く45歳の方の負担額と、専業主婦の違いを具体的に考えてみましょう

たとえば、パートなどで年収が90万円の場合、年間の保険料は以下のようになると予想されます。厚生年金保険料は約96,600円(月額約8,000円)、健康保険料は約54,000円(月額約4,500円)、そして雇用保険料は5,400円(月額450円)となります。
専業主婦の年金が廃止された場合、その負担額の合計は年間で約15万6,000円になります。この負担は、保険料の増加によって生じますので、家計に影響を及ぼす可能性があります。

一方、収入がない45歳の専業主婦の方は、専業主婦の年金が廃止されると、1年間に約30万円の負担が発生します。具体的には、国民年金保険料が20万3,760円(月額16,980円)、国民健康保険料が約8万4,000円(月額約7,000円)で、合計額は約287,760円になります。

国民年金保険料は、毎月一定ですが、物価や賃金の伸びを考慮して毎年見直されています。地域によって国民健康保険料が異なるため、実際の納付額は自治体のホームページで確認しておきましょう。

6.老後を安心して迎えるためにできる対策

年金制度が大きく変わろうとしている今、老後の生活を安心して過ごすためには、早めに自分で老後資金を準備することが重要です。その中で、新NISAという制度が注目されています。新NISAは、投資信託や株式投資などの金融商品を運用する際に得た利益が非課税になる制度です。通常、投資利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座で得た利益には税金がかかりません。
新NISAのつみたて投資枠では、長期的な積立や分散投資に適した投資信託を購入できます。毎月一定額を積み立てることで、老後に向けた資産形成が可能です。このシステムは、投資初心者にも手軽で理解しやすいため、幅広い層に適しています。

6-1.主婦・主夫が明日からでも始められる『新NISA』やりかた

新NISAは、投資信託や株式投資などの金融商品を非課税で運用できる制度です。主婦や主夫が明日から始めるためには、以下の手順を必要としてきます。

6-1-1.NISA口座の開設

まずは、口座を開設する必要があります。銀行や証券会社などで口座開設手続きを行います。インターネットを利用してオンライン口座開設が可能な場合もあります。

6-1-2.投資先の選定

NISA口座で非課税で運用できる金融商品を選びます。主婦や主夫でも取引がしやすく、リスクが分散されている投資信託がおすすめです。インデックスファンドやバランス型ファンドなど、リスクに応じた運用商品を選びます。

必須なのは、「自分の目標やリスク許容度を考えておく」こと
投資にはリスクが伴いますので、自分の目標やリスク許容度を考慮して投資先を選びます。老後資金のために積極的に運用するか、安定したリターンを求めるかなど、自身のニーズに合った投資商品を選択します。

6-1-3.資金の投入

口座開設後、自分の資金をNISA口座に入金します。積み立て投資の場合は、毎月一定額を自動引き落としに設定することで、コツコツと資産を増やすことができます。

6-1-4.定期的なフォローアップ

投資は時間と共に変化するものですので、定期的に口座の残高や運用状況を確認し、必要に応じてリバランスや戦略の見直しを行います。老後に向けた資産形成のプロセスを進めていくことが大切です。

6-2.新NISAだけじゃない、老後の準備方法

老後を豊かに過ごすために、新NISA以外にも主婦や主夫に適した方法があります。
その一つは、定期預金や積立型保険などの安定した金融商品を活用することです。これらの商品はリスクが比較的低く、安定した利回りが期待できます。また、不動産投資も考えられます。不動産を購入し、家賃収入や将来の売却益を見込むことで、老後の収入源として活用することができます。
ただし、不動産投資にはリスクも伴いますので、慎重に計画を立てることが重要です。さらに、老後のための貯蓄計画を立てることも重要です。定期的な貯金や退職金、年金などを活用して老後資金を積み立てることで、将来の生活を安心して過ごすことができます。そして、ライフスタイルを見直して節約することも、老後の資金計画に役立ちます。

7.まとめ

2024年から導入された新NISAは、従来のNISAを大幅に拡充・恒久化したもので、投資家にとって大きなメリットがあります。新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の2つの枠が設けられており、投資家はこれらを組み合わせて利用することができます。これにより、非課税で大きな金額を投資できるようになりました。ただし、投資信託は元本が保証されていないため、価格変動による元本割れのリスクがあります。したがって、投資を行う際には、慎重な選択が必要です。リスクを最小限に抑えるためには、自身の投資目標やリスク許容度に合った運用商品を選ぶことが重要です。また、投資信託の運用方針や過去の運用実績などをじっくりと検討し、専門家のアドバイスを受けることも有益です。
金融庁の「NISA早わかりガイドブック」によれば、「国際分散投資」と「積立投資」を長期間続けることで、資産を安定させることができます。たとえば、継続期間が5年の場合は、投資を始めたときの経済状況によっては元本割れのリスクがあるものの、20年間の積立投資では、どの時点から始めても収益が安定し、1989年以降のデータでは元本割れが発生していないことが確認されています。資産を大きく育てるためには、「国際分散投資」「積立投資」「長期投資」の観点から投資信託を選ぶことが重要です。また、投資信託の分配金には現金で受け取る受取型と、分配金で同じ投資信託を買い付ける再投資型がありますが、資産を大きく育てたい場合は、再投資型の長期のつみたて投資がおすすめです。再投資型は複利の力を活用できるため、元本割れのリスクを軽減しながら資産を成長させることができます。投資信託は、長期的な資産形成に適した商品です。コツコツと積み立てることで将来の資産を育てることができます。投資信託を始める際には、自分に合った方法を選ぶことが重要です。たとえば、クレジットカードや永久不滅ポイントを活用して積立を行う方法や、株式や様々な投資信託銘柄を選ぶことができる証券会社を利用する方法、電話や対面で相談ができる会社を選ぶ方法などがあります。
主婦・主夫が明日からの将来について、安心した生活のために、資産形成を始めることは重要です。ぜひ、あなたに合った方法で資産形成を始めてみてください。