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2023年10月秋の『ふるさと納税』改正から起こり得る影響と対策

    

こんにちは、編集者Mです。『ふるさと納税』実際にしたことはないという方でも、言葉だけは聞いたことがあるのではないでしょうか。近年、テレビやYouTube、SNSでも強力にプロモーションされているふるさと納税ですから、コマーシャルなどを目にする方も多いと思います。一例ですと、ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」のCMです。それぞれタレントとしても役者としても注目されている、飯塚悟志さん・角田晃広さん・豊本明長さん。そして女優の麻生久美子さんで繰り広げられる「東京03」らしいふるさと納税をめぐる寸劇。年末年始のホームパーティなどで「ふるさと納税で蟹届いたから」「ふるさと納税で肉届いたから」なんて集りのきっかけになったりと、美味しいものの話には実はふるさと納税のキーワードがかなりの頻度で関係していたりしますね。
しかし冒頭で述べましたように、言葉は知っていても実はやったことがないという方も多いようです。その理由として、あんまり仕組みがわからない…、メリットがわからない。また、デメリットもあるでしょ?たぶん。なんて知らぬがゆえの根拠の無い疑問の方が膨らんでしまって「『ふるさと納税』?面倒だしわからないからしないよ」そんな方もまだまだおいででしょう。
さて本題です。そもそもふるさと納税…興味あるけど…ええっ、秋から規則の改正!?よけい怖い!!なんてドツボにハマってしまう方もいるに違いないと見て、今回は改めてふるさと納税の面白さとメリット、注意点を簡単に。そしてどんな改正が行われるのか、その詳細と影響、対策、併せてふるさと納税の活用方法などについて学んで参りましょう。ふるさと納税について興味がある方や、これから始めてみたいという方も、ぜひ参考にして下さい。

1. そもそもふるさと納税とは?

『ふるさと納税』とは、税制の寄付金控除を活用した制度です。自分の好きな自治体に寄付を行うことにより、翌年の税金控除が受けられる仕組みとなっています。まず寄付金を支払って申告することで翌年度の税金が控除されるので、少しでも税負担を軽くしたい人ならば学んでおきたい制度です。
基本的な仕組みとして、ふるさと納税をするには自己負担金(2000円)が必要です。だいたい通常ですと、返礼品は「寄付額のおよそ3割程度」のものが貰えるようになっています。例として1万円のふるさと納税を行った場合ならば、約3,000円分の返礼品が受け取れます。ふるさと納税を行うことにより、各地の自治体が選出した魅力的な返礼品選んで受け取ることができるこのシステムですが、昨今では一般に広く認知度が上がってきたため、実は結構たくさんの人が利用しています。

1-1. ふるさと納税の概要

  • 日本国において、自分の好きな各自治体に寄付できる制度です
  • 寄付金額から自己負担額(=2000円)を差し引いた金額が翌年の税金から控除されます
  • 寄付のお礼として各地自治体の返礼品を選ぶことができ、貰えます

ふるさと納税について「節税になる」とする意見も散見できます。節税とは納税額が軽減することであり、ふるさと納税=還付や控除がされる仕組みであるため、節税にはあたりませんのでご注意ください。節税にはあたりませんが、ふるさと納税を活用することで返礼品が受け取れるメリットを得つつ、賢い納税につながります。

1-2. ふるさと納税のメリット

ふるさと納税のメリットを簡単にご紹介します。
まず寄付金控除を受けつつ、自己負担金2000円で好きな返礼品がもらえること。返礼品には暮らしに役立つものが多く、食費や生活費相当のものが得ることができます。
また、ふるさとは生まれ故郷に限らず、思い入れのある地域や町に貢献することができる仕組みです。
そして、還元率の高いクレジットカードで決済することでみんな大好き「ポイント」も貯めることもできます。

2.2023年10月から変わる『ふるさと納税』の改正点と影響

2000円を自己負担することで、魅力的な返礼品がもらえるとあって年々利用者が増えている『ふるさと納税』ですが、このふるさと納税の規則がまもなくの2023年10月から一部変更され、改定されます。

ふるさと納税の次期指定に向けた見直し(総務省)

2-1. 新しい『ふるさと納税』の規則変更・改正は2点

2023年10月から改正・変更される『ふるさと納税』について、主な改正内容・ルールは以下2点となっています。

  • 募集適正基準の改正

~ふるさと納税の寄付を募集するための必要経費「寄付額の5割以下」を厳格化する。

基本的に『ふるさと納税』について、返礼品を調達する費用の割合を寄付額の3割以下、経費の総額を寄付額の5割以下にするルールがあります。

  • 事務手数料や送料の経費は寄付金額の5割までとする
  • その内、返礼品は寄付金額の3割までとする

例として10000円の寄付であるならば、返礼品の金額はおよそ3000円(3割)です。
返礼品の3000円を含んだ金額5000円(5割)は経費とし、実際に自治体へ寄付される金額は5000円となります。

これについて総務省が自治体を調査した際、経費の範囲として従来は含まれていなかった「ワンストップ特例制度(一定の条件を満たせば、ふるさと納税をした後に確定申告をしなくても寄付金控除が受けられる制度)」の事務費用や、寄付金受領書の発行費用といった隠れ経費があることがわかりました。この隠れ費用を本来の経費に加えると、経費の総額が寄付額の5割を超える自治体が出てきました。今回の制度改正により、隠れ経費も含めた経費の総額が寄付額の5割以下となるように、経費の基準を厳格化するというものです。

つまり、10月からのルール改正では経費に3項目が増えることになります。

1.ワンストップの特例事務の費用
2.寄附金受領証の発行+発送費用
3.その他の付随費用

そこに元々の経費費用がかかってきます。

4.返礼品を調達する費用
5.送料
6.広報費用
7.仲介業者に支払う手数料(※)

この新しい規定が採用されることにより、地方自治体は寄付の額の5割に相当する費用と、返礼品の費用。送料、広報に関する費用(※これに仲介サイトへの手数料も含む)を負担することとなります。一部の地方自治体ではこれらの費用負担により、支出割合が5割を超える場合もあるようです。
今回のルール改正によって、寄付額の増加(返礼品の希望寄付額が高くなる)や返礼品の品質に影響が出る可能性などの懸念が生じています。

  • 地場産品基準の改正

~返礼品のうち、熟成肉と精米は同じ都道府県内で生産されたものに限る。

今までは地元で熟成・加工された食品であれば、他の都道府県や海外で生産された肉やお米であっても、地場産品として返礼品に含めることができました。10月の『ふるさと納税』改正施行からは、熟成肉と精米について、原材料がその都道府県内で生産されたものに限って返礼品に含めることとされています。それ以外についても、詳しくは以下のようになります。

  • 熟成肉・精米の返礼品は、原材料が同一都道府県産のみ
  • 他地域産の品と地元産の品をセットにする場合には、地元産の品が全体価格の7割以上にならなくてはならない

つまり2023年10月『ふるさと納税』規則改正からは、今までは返礼品のリストにのぼっていたものがなくなってしまう可能性があります。たとえば、以下のようなケースです。

  • 他地域原産のお米を地元で精米し、地元の返礼品としたもの
  • 外国や他地域原産のお肉を地元で熟成させ、「熟成肉」として返礼品としたもの
  • 地元の品に他地域原産である品をセットした返礼品だが、他地域の品の割合が多い

新たな改正規則が施行されたならば、返礼品の数や種類が減ってしまったり、なくなってしまうかもしれないのです。

3.『ふるさと納税』規則変更・改正で起こりうる影響

『ふるさと納税』については根本的に、ふるさとを応援するという意味をも含むものと考えられます。他地域の原産であるお肉やお米が返礼品としてあるのには、疑問が浮かぶ人もあるでしょう。そういった意味においては今回の改正は正論とも読むこともできます。
しかし自治体からすると、経費が5割を超えるということ=自治体に寄付額の半分も残りません。また個人からすれば、自治体の発展へ貢献すべく納めた寄付金なのに、その半分以下しか使われないことになるのは『ふるさと納税』の価値と意味を失ってしまいます。

上を踏まえて今回の『ふるさと納税』規則変更と改正により、利用者である私たちにはどんな影響が起こり得るでしょうか。まず、経費規則の改正によって返礼品の量が減る可能性があります。納める寄付額相当に、10kgのお米がもらえていたケースでも、2023年10月のふるさと納税規則改正後からは、5㎏サイズになる可能性です。また、返礼品の容量サイズについてはこれまでと同じでも、相当の寄付金額が上がる可能性もあります。
返礼品によっては取り扱いが終了するものも出てくるでしょう。熟成肉・精米についてはもちろん、他の都道府県や海外を原産としていたものは終了することになります。

1.返礼品について対する寄付金額の上昇の可能性
2.返礼品の質が変わる、量が減る可能性
3.返礼品の種類が減る可能性

つまり、2023年10月にある規則変更・改正以降から『ふるさと納税』利用者(寄付者)にとっては返礼品の還元率が下がることになる可能性が高まっています。

3-1.  返礼品について対する寄付金額の上昇の可能性

ふるさと納税について、自治体には経費に含めるべき負担項目が増えました。それを踏まえたうえで「5割ルール」により、ふるさと納税の経費を「寄付金額の5割」に抑えなくてはいけません。これまで経費に含まれていなかった分の項目も加えた上で、5割以内の経費に抑える=寄付総額自体が増加することが考えられます。

3-2.  返礼品の質が変わる、量が減る可能性

自治体がふるさと納税の返礼品を調達するにあたり、経費には返礼品そのものの費用も含まれます。返礼品の費用を込みで経費を5割に収めるにあたり、返礼品自体の原価を抑えにかかることが考えられます。そうなれば、返礼品の質が落ちる・量が減る可能性が考えられます。

3-3.  返礼品の種類が減る可能性

地元・地場原産の条件が厳しくなることで、これまで返礼品だったものが提供できなくなることが考えられます。

以上3点を踏まえまして重要なポイントは、『ふるさと納税』お気に入りに地場原産のものがある方には特に注意が必要です。お気に入りの返礼品が地場原産でない場合は、9月末までにふるさと納税をすることをおすすめします。

4.2023年『ふるさと納税』するならば、規則の変更・改正前に寄付をするのが大吉!

もどかしいことながら2023年8月時点では、10月以降の自治体の具体的な対応はまだ明らかではありません。返礼品の変更などもこれから発表されてゆくと思われます。
しかしながら『ふるさと納税』について、自治体は新規則・改正に適応する必要があります。規則変更・改正の施行から以降、寄付金額が増える・返礼品の魅力が減るなどの可能性は濃いでしょう。
こうしたことを考慮して、今年のふるさと納税は10月の新規則変更、改正前の9月中までに寄付をしておく方が有利に働きそうです。ふるさと納税の最大の魅力はやはり返礼品ですから、規則変更・改正前の今の段階で『ふるさと納税』を通じて寄付を行い、お気に入りの返礼品を手に入れることを検討しましょう。

6.おわりに

今回は『ふるさと納税』2023年10月から規則変更・改正される内容について学びました。覚えておくべき主な変更点は「募集適正基準の改正」「地場産品基準の改正」の2点です。これにより、2023年10月以降はふるさと納税の返礼品について寄付金額が上がる可能性。また、返礼品の質が落ちたり量が減る可能性。返礼品が減る、お気に入りだったあの商品がリストから消えるなどの可能性が考えられます。
ふるさと納税をするならば、9月末までには寄付手続きを済ませることをおすすめします。気になる返礼品があるならば、早めに寄付しましょう。兵は神速を貴ぶ!ふるさと納税は活用することで生活を豊かにすることができる制度です。もし、まだ未経験ならばそれはぜひ挑戦してみてください。