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投資初心者向け、インデックス型投資で人気の「全世界株式ファンド」と「全米株」について

    

こんにちは、編集者Mです。投資をこれから始める初心者ならやはり「できるだけ得をする投資先にお金を使いたい」という気持ちでいると思います。投資信託には初心者でも取り組みやすい方法がいくつかあります。中でも人気なのは長期で資産を積み立てる「積み立て投資」と、リスクを分散させる「分散投資」です。
特に、世界中やアメリカの企業に広く分散して投資できる「全世界株」と「全米株」は、新NISAから投資デビューをした初心者からも人気の高い商品です。なぜ人気なのでしょうか。これらは、リスクを分散するために複数の企業や地域に投資できる魅力を持っているからです。では、どちらががより良い投資方法なのでしょうか?一緒に考えていきましょう。

1.インデックス型投資信託「全世界株」と「全米株」は、どのような投資?

まず、投資信託には大きく分けて「インデックス型」と「アクティブ型」の2つの種類があります。インデックス型は、市場の値動きを示す指標に連動することを目指す投資信託であり、アクティブ型は指標よりも高い成果や絶対収益を目指して運用される投資信託です。このうち、インデックス型の投資信託は、アクティブ型に比べて手数料(保有中の信託報酬)が安いため、NISAやiDeCoなどで多くの投資家に利用されています。そして、2024年からの新NISAの積み立て投資枠でも当然ながら投資が可能です。インデックス型投資信託の中でも、特に人気があるのが「全世界株」と「全米株」に投資するものです。これらは文字通り、1本で全世界の株式に投資するか、または全米の株式に投資する効果が期待できる投資信託です。つまり、これらの商品を選ぶことで、世界中の企業や全米の企業に分散して投資することができるのです。

2.全世界株と全米株のパフォーマンスはいま、どんな状況?

まず、全世界株とは、世界中の株式市場全体に広く分散して投資することを目指す投資戦略を指します。この戦略を具現化したETF(上場投資信託)の一例がVT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)です。一方、全米株は、アメリカ国内の企業に特化した投資戦略で、VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)がその代表例です。これらのETFのパフォーマンスを比較することで、投資家は市場全体とアメリカ市場の動向を理解しやすくなります。
最近の動向を見てみると、例えば、全世界株はグローバルな経済状況に応じて変動する一方で、全米株はアメリカ国内の経済指標や企業業績に影響を受けやすい傾向があります。具体的には、アメリカ国内の企業に特化した全米株(VTI)は、アメリカの好調な経済指標や企業業績の強さに支えられて、一時的には良好なパフォーマンスを示しています。
これに対して、全世界株(VT)はグローバルな経済の動向に影響され、様々な地域やセクターの株式に分散しているため、一部のタイミングでは全米株を上回ることがあります。ただし、投資市場は非常に複雑で予測困難な要素が絶えず影響を与えます。株式市場の動きには様々な要因が絡み合っており、短期的な動きだけでなく、中長期的な視点も重要です。経済状況や国際的な事象、金利の変動など、さまざまな要素を総合的に考慮しながら、投資戦略を検討することが賢明です。

3.全世界株と全米株のメリットを整理してみましょう。

3-1.全世界株を選ぶメリット

・世界経済全体の成長に参加できる

IMFの「世界経済見通し」によれば、世界経済は毎年約3〜4%ずつ成長しています。全世界株に投資することで、世界経済の成長に連動した投資が可能です。

・新興国の成長を享受できる

全世界株は欧米だけでなく、新興国の株式も取り込んでいます。これにより、新興国の経済成長にも参加できます。

・リスク低減が可能

世界中に分散投資できるため、個別の地域やセクターに依存しないリスク分散が図れます。現代ポートフォリオ理論に基づいた戦略です。

・米国株に重点投資

実際のところ、全世界株の構成の約6割は米国株に投資されています。これにより、米国の成長力もしっかりと活用できます。

3-2.全米株を選ぶメリット

・運用成績が上回る可能性

直近20年ほどのデータによれば、全米株は全世界株を上回る運用成績を示しています。これは、米国経済の好調な推移が影響していると考えられます。

・低成長国を含まない

全世界株には低成長の国も含まれる一方で、全米株は米国経済の好調な動向を背景にしているため、低成長国の影響を受けにくいと言えます。

・米国市場で新興国の成長も取り込める

米国市場は世界経済の中心であり、新興国の成長にも密接に関連しています。全米株を選ぶことで、米国市場を通じて新興国の成長をキャッチできます。

・余計なリスク・コストを負わない

全世界株のように広範な分散を行わなくても、米国株だけに投資することで余計なリスクやコストを回避できます。

過去20年を振り返ると、全米株は全世界株に比べて優れた運用成績を示しています。この差異は、全世界株には低成長の国が含まれている一方で、全米株は米国経済の好調な状況を背景にして価値が上昇したことに起因していると考えられます。当然ながら、新興国も成長している可能性はありますが、長期にわたり米国は新興国の成長に同調しつつも、独自の発展を遂げてきた要因が、全米株の優れたパフォーマンスに寄与しています。
さらに、米国が世界経済の中心であるという事実を踏まえると、米国の経済動向は世界経済全体の動向にも大きな影響を与えています。そのため、全米株に投資することは、米国経済の成長に直接的に参加することを意味し、結果的には世界経済全体においても一定の安定したリターンを期待できる可能性があります。この観点から、無理に全世界株を購入する必要はなく、米国株に焦点を当てることで投資家は十分な利益を得ることができるでしょう。

4. 大事なこと~全米株がいつまでも良いとは限らない!

重要なのは、全米株が常に良好なパフォーマンスを示すとは限らないという点です。確かに、過去の結果を見ると全米株の方が上回っていたことは事実です。将来も米国が強い時期が続けば、引き続き全米株のパフォーマンスが高まる可能性があります。しかし、全米株がいつまでも好調であることに確証はありません。むしろ、将来どの国が大きく成長するかは予測不可能な要素です。
現在、米国の時価総額は世界の約6割を占めていますが、これは過去ずっと常に1位だったわけではありません。1900年代から1920年ごろまでは英国が米国を上回っていましたし、1980年代から1990年代にかけては日本も大きな存在感を示していました。もし今、米国にだけ投資しておいた場合、数十年後には米国の影響力が今よりも減少していたとしたら、資産の減少の可能性も考えられます。そのため、全米株ではなく全世界株に投資することが安全であると言えます。
実際に、プロのファンドマネージャーであっても、未来の世界経済の動向を正確に予測するのは難しいです。私たち素人がそれを予測し、的確に投資するのは不可能です。そのため、基本的には幅広い分散投資が賢明です。世界経済は総じて成長しています。一部の国だけが永続的に成長し続けるのは難しいでしょう。米国ですら、将来の展望が確実視されるわけではありません。このような時代において、資産を守りつつ確実に増やす「負けにくい投資」を行う意味で、全世界株には一定の魅力があります。ぜひ、投資を検討する際の参考にしていただければ幸いです。

5.NISAで買うなら「全世界株」と「米国株」、結局どちらを買うのが正解?

積み立てNISAでの選択肢として、「全世界株」と「米国株」の2つの人気ファンドからどちらを選ぶべきか。これまでに全世界株式と米国株式の特徴を確認しましたが、これらを両方保有しても分散効果が得られないという点があります。では、投資初心者がどちらに投資すべきなのでしょうか。
初心者におすすめするのは「全世界株式」です。単一の国、つまり米国株式にだけ投資してしまうと、アメリカ経済が低迷した場合には大きなリスクが伴います。それに対して、全世界株式は現在アメリカの比率が高くなっているものの、時価総額加重平均法に基づき世界の国々に均等に投資できるため、一国に依存することなくリスクを分散できます。このため、投資初心者には特により安全でリスクの低い全世界株をおすすめします。ただし、「どうしても米国株式に投資したい」「全世界株式と米国株式、どちらも取り入れたい」という場合もあるかもしれません。そういった方は、特定口座で全世界株式を購入し、非課税で投資できるNISAを活用して米国株に連動する投資信託を選ぶのも良いでしょう。米国株は全世界株に比べてリスクは高いものの、大きなリターンを狙うことができ、NISAの非課税メリットを最大限に活用できます。これにより、柔軟で効果的なポートフォリオを構築できるでしょう。

6.まとめ

選べないので全世界と米国株、どちらの投資信託も購入して分散してみました…というアプローチも悪くはありませんが、注意が必要です。現在、米国株式・全世界株式は、各ネット証券で人気ランキング上位の投資信託として注目を浴びています。迷った際には、「迷うぐらいなら両方購入してしまおう」「人気2銘柄を購入すれば分散になるし、一石二鳥」という考え方も理解できます。しかし、このやり方が本当に効果的な分散を実現できているかどうかは疑問が残ります。
複数の投資信託を持つことで分散効果が期待できる一方で、同じ資産クラスや地域に連動している場合は、十分な分散が難しいことがあります。異なる資産クラスや地域に投資することが、より効果的な分散をもたらす可能性があります。したがって、「全世界株」と「米国株」の両方を購入することで本当に十分な分散ができるのか、投資初心者ならば慎重に検討したいところです。自身の投資目標やリスク許容度を考慮し、バランス良く異なる資産クラスに分散投資することが大切です。