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お金の学び~2024年『新NISA』にむけて「わたしたちはどう動くべきか」

    

こんにちは、編集者Mです。2024年から新制度になる『新NISA』について、巷の金融業界各社にいては、新たなお客様確保にと西東へ駆け回っているようです。さて今、新NISAについて、金融機関側は何を考えているのでしょうか。
新NISAについて、多くの金融機関が広告をしたり、積極的に勧誘したりしていますが、銀行はどのくらい儲けてるいるのかと疑問も湧くものです。そしてそれを踏まえて『新NISA』について、わたしたち資産運用・投資初心者、中級者達はどう動くべきなのか。新たにNISA口座を開設する予定の方も、今すでにお持ちのアンテナの高い方も、金融機関の裏ココロについて一緒に学んで参りましょう。

1. NISAを扱う金融機関各社から見た2024『新NISA』

2024年から、現行の一般NISA少額投資非課税制度・つみたてNISAよりも規模が拡大されて、新NISAが始まります。それを受けて金融機関各社では、新NISAを運用したい顧客の獲得にむけた動きが活発になっています。

ちなみに『新NISA』ですが、既存のNISAについてとは関係なく新たに利用することができるというものです。例えとして、既に今年始めていた一般NISA・つみたてNISAの内容は、これからはじめる新NISAと別で、期限まで税制優遇措置を受けることができます。そして、今保有して持っているNISA口座については、変更手続きなどを行わなければ同じ金融機関で『新NISA』口座をつくることができます。つまり金融機関各社からしてみると、~今のNISA投資について『新NISA』と別に持ち越せますよ、とNISA口座を開設してもらい、そのまま新NISAの顧客になっていただく営業ができる訳です。NISA口座を利用する私たちから見ると、新たに利用する『新NISA』について、現在利用している金融機関を変更することはやぶさかではないですが、日々の忙しさを鑑みて手続きなど結構面倒だわ…と感じるのがいいところ。金融機関が面倒見てくれるなら楽なのが本音です。金融機関と顧客がWIN・WINな営業方針が打てる訳ですね。

2. 現在までの金融機関各社において、NISA口座獲得バランスは

今までの一般NISAでは、年間120万円を5年=通算600万円、つみたてNISAでは年間40万円を20年=通算800万円までとされており、金融機関からしてみれば規模感としては小さいものでした。併せて一般NISAの期限的な性質から、金融機関からしてみれば、顧客口座の獲得にノリノリにはなり得ない、魅力薄だったと言っても過言ではないでしょう。

しかし、今回の変更で『新NISA』では、年間投資額が360万円。投資枠については最大1800万円までと、はっきり大幅な変更となりました。また、制度の適用期間は恒久であること、税制優遇される運用期間は無期限です。金融機関各社においては営業メリットが非常に濃くなった訳です。

変更手続きをとくに行わなければ、2024年から今までと同じ金融機関で『新NISA』に移行できるとすると、現在NISA口座を持っている金融機関は強みでしょう。さて、現在のNISA口座について金融機関各社のパワーバランスはどうなっているのでしょうか。

ざっくり俯瞰した様子ですと、NISA口座の獲得数では大手インターネット証券2社が目立ちます。2022年末に発表されたデータでは、楽天証券が410万口座弱、SBI証券が320万口座弱を獲得しています。窓口のあるリアル金融機関では、同年で野村證券が160万口座強、SMBC日興証券が70万口座弱、大和証券が65万口座程度。みずほ証券が30万口座弱、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が20万口座強という並びです。メガバンクではどうでしょうか。2023年末のデータでは、三井住友銀行が45万口座強、三菱UFJ銀行で40万口座強、みずほ銀行が40万口座弱といった状況です。
なんと大手証券と三大メガバンク・子会社証券を合計しても、ネット証券大手2社の合計口座数に届かないのです。この状況は2024年以降、どう動いてゆくのか。各社の思惑が見どころですね。

3. もしかして、各社金融機関においてはうまみが薄いの?NISA

そもそも、各社金融機関にとって『NISA』口座を開設してもらうことはどの程度の収益が見込める営業ビジネスなのでしょうか。まず、「つみたてNISA」対象となる投資信託は国の厳しい基準をクリアした投資信託に限られています。その基準の1つ『信託報酬が一定水準以下であること』があります。基本的に「つみたてNISA」の手数料(信託報酬)は低く設定されているのです。
そして通常、投資信託を購入するのにざっくり1~3%程度の手数料が必要です。しかし「つみたてNISA」の対象となる投資信託については「申込手数料が0円」と決められています。つまり金融機関にとって、申込手数料による収入は期待できません。
投資信託の手数料は、申込手数料のほかに信託報酬があります。これは純資産額=投資信託の残高に対して、毎日計算される手数料のことを指します。たとえば残高100万円に対して、年率0.154%の信託報酬がかかる場合なら、年間1540円(目安)の手数料がかかります。この信託報酬を販売会社と運用会社、信託財産を管理する信託銀行で分け合うことになります。年間で1540円。これを3社。うまみとしては悩ましいところですね。

さて、NISA口座を取り扱う金融機関側が浅利である状況をご説明しましたのは、なにも金融機関側の肩を持つわけではありません。金融機関もビジネスです。お仕事であり、社員に給料を支払い、儲けを出す必要があります。金融機関各社が会社として『新NISA』について口座営業を行うならば、特に『成長投資枠=年間投資額240万円、一人トータル投資枠1200万円』を効果的に考え、効率的に手数料を確保しようと考えると見ているからです。資産運用として収益を狙い『新NISA』に私たちが取り組むにあたり、彼ら金融機関にもそういう背景があり、動機があることを知っておきましょう。

4. 目前で巻き起こる金融機関顧客確保戦線を眺めつ『新NISA』をどう活かすか

金融機関の思惑はある程度、わかって参りました。では立場を入れ替えて、投資家である私たちはどうしたらいいのでしょうか。まず、制度ラストイヤー「一般NISA・つみたてNISA」について利用することで、税制優遇された投資額が増えるからまず利用しようという思惑は有りですね。あわせてついでに、今年中にNISA口座を持つ金融機関を選んでおくことで、来年は手続きすること不要でその金融機関を使えるという利便性も利用したいところ。わたしたちが資産運用に『新NISA』を扱うにあたり、決めておきたいのは『新NISA』でも利用する取扱金融機関、金融会社を選ぶこと。そして、投資について方針決定と準備。あわせて現行の一般NISA、つみたてNISAを選ぶことと利用法の決定です。

さて『新NISA』では非課税保有期間が「無期限」となった分、それだけ金融機関選びが重要になって参ります。金融機関を選ぶにあたり、特に注目したいのは「つみたてNISA」取扱商品の数、そして株式の売買手数料、ポイントなどの特典プログラムの3つでしょうか。下に解説して参ります。

4-1. 「つみたてNISA」取扱商品数が多いのがいいとは一概に限りません

金融庁が公表している「つみたてNISA対象商品届出一覧」では合計246本の投信がつみたてNISAの対象となっています(2023年7月31日時点)大手ネット証券各社は取扱商品数の多さを打ち出していますが、これは個々・個人で投信を選ぶ必要があることにもなる点に注意が必要です。対面証券会社や銀行機関では、つみたてNISAの取扱商品をリスクの小さい商品に限定しています。ネット証券に比較して、自由度は低いですが初心者でも選びやすくなっているのが特徴と言えるでしょう。選べる投資商品の自由度と幅を取るか、リスクの小さい投資商品に絞られた選択肢から選ぶか、自分の投資スタイルや目的・目的に応じてNISA口座開設先を検討しましょう。

4-2. 株式の「売買手数料」を考えるならばネット証券に注目

現行の一般NISAでの株式売買を行いたい場合は、証券会社でNISA口座開設する必要があります。銀行では扱いがありません。その場合、コストとして考えておかねばならないのは売買手数料です。ネット証券会社の多くは、NISA口座で国内上場株式等を取引するにあたり、手数料を無料でできるようになっています。
ネット証券会社に対し、対面・窓口証券会社ではオンラインでの注文でも売買額に応じて手数料が発生してきます。売買を頻繁にするのであれば注意が必要です。せっかくのNISAによる節税メリットを活かすために、手数料がかからないネット証券会社は注目しておくべきです。

4-3. ポイントなど特典プログラムはどうだ

投資・資産運用について初心者が軽視しがちなのが、金融機関が独自で行っているポイント付与プログラムや特典プログラムです。投資での利益と節税による利益に加え、特典によって得られる利益は確実に懐に返ってきます。

迷うようでしたら普段使っているポイントサービスを扱う会社を選んでNISA口座開設先にするのも堅実な選択でしょう。獲得ポイントを優遇している金融機関について、楽天証券やauカブコム証券など。クレジットポイントの還元率ならばマネックス証券に人気が集まっています。銀行機関では、目立ったところでは三井住友銀行のコンビニATM無料特典、みずほ銀行のコンビニATM無料特典・他行振込手数料無料特典が見つかります。マルチポイントサービスを重要視するならばSBI証券と大和コネクト証券など、各社様々にセールスポイントは細分化しています。

5.おわりに

あらためて、NISAとは少額投資非課税制度のことです。毎年120万円までの範囲内で購入した株や投資信託などについて、通常は利益=譲渡益や配当が出たら、それに対して約20%の税金がかかるのが、最長5年間非課税になるという制度です。
「NISA」をするには取り扱い金融機関において専用の『NISA口座』を開設する必要があります。なお、NISA口座は一度開設すると1年間変更することができません。どの金融機関を選ぶのか、証券会社なのか銀行なのか。ネット系なのか対面窓口なのか。証券会社によって取扱商品は違って参りますし、手数料も異なります。買付手数料無料や現金プレゼントなど、「NISA用キャンペーン」を設けている会社もあります。
判断材料を収集し、各社金融会社・証券会社を比較して「NISA口座」を開設しましょう。冒頭で申し上げましたように、金融機関は活発に動いています。自分で損得や戦略を考えて、新旧NISAの制度を上手に使っていきましょう。