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急増中の早期退職、これって乗っかっていいの?考えられるリスクと対策

    

近年、大企業を中心に早期退職者の募集が急増しています。
おおむね50代の人を対象に、定年退職よりも早い時期に退職することで退職金を上乗せするなどの条件を提示するわけですが、なぜ早期退職者の募集が急増しているのでしょうか。
そこには企業側の思惑もあるわけですが、一見すると働く人にもメリットがあるように見えます。
どうせ定年まで在籍しても給料は上がらないし、それなら早期退職して自由を謳歌してみたい・・・そう考える人に向けて、早期退職の現実と考えられるリスクを解説します。

魅力的に見える早期退職、企業側の思惑

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早期退職を社員から言い出したところで、退職の条件が変わるわけではありません。ただの自己都合退社です。しかし、会社が早期退職を募集する場合は会社都合なので、条件が良くなります。
条件を良くしてまで早期退職を募ることには、もちろん理由があります。
最大の理由は、人件費の削減です。1回で済む退職金の増額をしたほうが、その後もずっと働き続けて定年退職になるまで給料を支払うよりも、退職金を増額するほうが利益になるからです。
これを逆に考えると、社員にとって早期退職は金銭的に見ると損です。居心地が悪くても定年まで居続けたほうが、トータルの賃金は多くなります。
そのため、金銭的な損得だけを考えるのであれば早期退職は無しなのですが、早期退職をすると早期リタイアができるようにもなります。65歳で定年退職をする予定だったものが、55歳で早期退職をしたら10年も早く自由な時間が手に入ります。
お金を取るか、時間を取るか。早期退職をするか否かの選択をする際には、究極的にこの2拓になると思っていいでしょう。

早期退職に応じたら起きること

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1回だけとはいえ退職金の上乗せが期待できる上に、自由な時間も手に入る早期退職。
しかし、それと引き換えにいくつかのリスクと直面することになります。
早期退職に応じたら、何が起きるのか。主に考えられる5項目を解説します。

①住民税と社会保険料の負担

住民税や社会保険料は、サラリーマンにとってあまり意識したことがない生活コストです。会社がすべて計算して給料から天引きをしていますし、社会保険料は会社が折半で支払ってくれています。
早期退職をするとサラリーマンではなくなるため、これらの問題が一気に表面化します。
まず、住民税。住民税は前年の所得に対して課税されるため、前年までの給料に応じて住民税が課税されることになります。早期退職をする直前の年収が結構高い水準になっていたのであれば、住民税も高くなります。早期退職に応じると無職になるわけですが、無職だからといって税金が免除されるわけではありません。
退職した翌年はそれを丸々自分で負担しなければならないことを認識しておきましょう。
そして次に、社会保険料。サラリーマン時代は会社と折半で支払っていたものが、退職後は国民健康保険に切り替わります(社保の継続も可能ですが最長2年)。こちらも年収に応じて保険料が決まるため、退職直前の年収が高ければ健康保険の金額も高くなります。
単純計算でサラリーマン時代の負担額の2倍になると考えておくのが良いでしょう。

②公的年金の受給額が減る

サラリーマンの場合、年金は厚生年金です。厚生年金は加入している期間が長いほど受給額が多くなる仕組みになっているため、早期退職をすると加入期間が短くなり、その分受給額が少なくなります。
公的年金は受給開始になってから亡くなるまで続くため、長生きをするほどその差額がボディブローのように効いてくるかもしれません。

③意外に厳しい再就職への道

長らく勤めてきた会社を退職したからといって、社会人人生を終えることとイコールではありません。早期退職で会社を辞めたのであれば、次に別の会社で再就職を・・・と考える人は多いでしょう。そうでなければ年金の受給開始まで無収入になってしまいますし。
そこで求人を探すも、特別なスキルや資格がある技術職でなければ、給与水準は前職よりも低くなるのが大半です。同様に早期退職をした人が就職市場に参入していることを考えると、同じような人材がだぶついている可能性もあります。
正社員として就職できれば御の字ですが、それでも3割から5割程度給料が低くなるのは覚悟しておいたほうが良いでしょう。正社員として就職できなかった場合は非正規雇用となりますが、その場合はさらに収入が少なくなる可能性があります。しかしながら、非正規雇用の場合はフルタイム勤務ではないため、自分の時間を持つという目的は果たせるかもしれません。

④社会的な信用力が低下する

サラリーマンには、社会的な信用があります。これはサラリーマンと自営業者の両方を経験している筆者も、嫌というほど実感していることです。サラリーマンには会社という看板があって、その看板が持つ信用力が強い味方になります。これは大企業に勤めている人ほど威力は大きくなります。
社会的な信用があるとできること、その代表格は賃貸住宅の契約や、お金の融資です。退職前に住宅ローンを組んだという人は多いかもしれませんが、その審査に通ったのは残念ながらあなた自身ではなく、会社の信用があったからかもしれません。
早期退職をするとその看板がなくなるため、「ただの無職の人」という信用力しかなくなります。自営業者で何年も確定申告を続けている人であれば話は別ですが、無職の人には確定申告の実績もありません。
会社という看板がなくなった時に感じる不便さは、多くの人が想像している以上です。

⑤長生きリスクが現実になる

老後資金のことを考える際に、「長生きリスク」という言葉がよく出てきます。長生きリスクとはそのまま「長生きしてしまうリスク」のことです。
長寿は大いにおめでたいことなのですが、想定以上の長生きをした時に老後資金が足りなくなってしまうことがリスクとなる考え方です。
いわゆる「老後2,000万円問題」では、95歳まで生きた際に老後資金が2,000万円不足することを指摘したレポートが問題になったわけですが、さすがに95歳まで生きる人はそれほど多くないので、2,000万円というのは少々大げさかなと思います。
しかし、95歳まで生きる可能性はありますし、95歳までは生きないだろうと考えるのは「95歳までに死ななければならない」というロジックにもなってしまうので、やはり長生きリスクはしっかりと対策しておくべきです。
早期退職だと退職金が上乗せされるので、少なくとも2,000~3,000万円の金額になるでしょう。これだけあれば安心かと思いきや、これからはインフレの時代です。額面の金額は変わっていなくても現金の価値が目減りしていく時代では、お金を持っているだけだと減ってしまうのです。
現役世代のうちに老後資金をシミュレーションしたことがある方は多いと思いますが、インフレはそのシミュレーションを狂わせてしまいます。
現在、日本は年間2%程度のインフレが進んでいます。世界各国と比べるとかなりマシな数値ではありますが、毎年現金の価値が2%ずつ目減りしている事実は、決して軽くはありません。
当初は30年程度大丈夫だと思っていた老後資金が20年になり、10年になり。そうなってからだとできる対策にも限りがあるので、遅くても早期退職を決断する時点では何らかの対策を打っておくべきです。

老後破産を回避するための4つの対策

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ここまで早期退職にまつわるリスクについて解説してきました。それでも早期退職に魅力を感じる、何とかリスクをうまく回避したいという方のために、早期退職をしても老後破産を回避する4つの対策を伝授します。

対策① 住民税・保険料ショックへの対策

先ほど警鐘を鳴らした、「退職翌年の大増税」。これに対してあらかじめ現金を確保し、少しでも負担を抑える手続きを実践します。
まず実践しておきたいのが、住民税の先払いです。早期退職時の年齢が55歳だとして、その時点での給与が高ければ高いほど、翌年に請求される住民税は数十万円〜100万円超に達してしまいます。
退職金に手を付ける前に、翌年分の住民税支払いのための専用口座へあらかじめその金額を隔離してください。早期退職をする直前、現役世代のうちに準備しておきたい資金です。
次に、社会保険の任意継続と国民健康保険の徹底比較をします。退職後は、元の会社の健康保険を任意継続(最長2年間)するか、市区町村の国民健康保険に切り替えるかを選べます。
任意継続は「現役時代の給料が高くても、負担額に上限(各健保による)がある」ため、55歳での退職直後は任意継続の方が年間数十万円安くなるケースが多々あります。必ず退職前に会社の総務や役所で試算比較を行ってください。筆者が相談をいただいた方の中では、任意継続のほうが有利になるケースが多いように感じます。

対策② 100歳までの資産寿命を意識、退職金を減らさずに運用

老後破産になってしまう最大の原因は、どんぶり勘定です。「何とかなるだろう」と思っていたものの、何とかならなかったケースです。
退職前に必ず、現実的な生涯収支を計算してください。
毎月必要になる金額×100歳までの月数を基本として、それ以外にも以下のような支出が考えられます。

  • 医療、介護に関する費用
  • 子供への援助
  • 自宅の修繕やメンテナンス

100歳まで生きると仮定した上でこれらの総費用を算出し、毎月の公的年金総額と退職金を差し引いた金額が最終的な収支です。
この収支がマイナスになった場合は、老後破産のリスクが高いと思われます。以降に解説する方法で対策をしましょう。

老後破産を回避するために、55歳の時点でできることは、たくさんあります。
早期退職をしたら退職金が入るため、これから始まるセカンドライフの中では「最も多額のお金を持っている状態」になる人がほとんどでしょう。
それならその状態を少しでも長く維持することに注力するのが本筋です。
若い人であってもFIREといって、資産収入だけで生活できる状態を目指すのが流行っていますが、これと同じことを55歳の人が目指すことができます。仮に退職金が2,000万円あるとしたら、それだけでもかなり本格的な投資ができます。
とはいえ、失敗できない年齢です。あまりリスクの高い投資はおすすめできないので、ここで考えられるのはNISA口座を活用したインデックス投資や、個人向け国債などでしょう。
インデックス投資とは株価指数など「市場全体の指数」に投資するもので、インフレの進行に伴う株価上昇にも対応しながら資産の増加が期待できます。
インデックス投資については詳しく解説している記事があるので、ぜひそちらもお読みください。

やっぱり強かったインデックス投資、1年間積み立てた結果が早くもヤバい

もう1つの個人向け国債は、最近になって急に注目度が高まった運用方法です。
国が発行している債券を購入して、利回りを狙うことができます。個人向け国債の最大のメリットは元本保証であることで、以前はゼロ金利政策を反映して利回りもショボかったものが、昨今の金利上昇によって投資妙味のある利回りになってきました。
こちらは、直近の個人向け国債利回りです。

「固定5」だと、2.06%。これまで1%を下回ることが普通だったことを考えると、安全に運用する手段として十分な能力だといえます。
筆者はカチケンでも報告している通りもっと利回りの高い投資をしていますが、利回りの高い投資には高いリスクが付きまといます。初心者の方にはおすすめできないので、ここで挙げたインデックス投資と個人向け国債の範囲で運用することをおすすめします。これだけでもインフレ対策になりますし、株高が進めば年利4%を超えるような利回りも十分狙えます。

対策③ リタイアではなくセミリタイア

55歳から完全な無職(完全リタイア)になるのではなく、週に2〜3日だけ自分のペースで働く半引退(バリスタFIRE・サイドFIRE)」という方法です。
毎月の収入額によっては、これを行うだけで老後破産のリスクはほぼゼロになります。
例えば、月8万円(年間約100万円)をバイトや前職の知識を活かした業務委託などで稼ぐと、55歳から65歳までの10年間で合計1,000万円の収入になります。これは、「退職金の取り崩しを1,000万円防いだ」ことと全く同じ意味を持ちます。
資産の寿命が10年以上伸びる計算になり、精神的な安心感は完全無職とは比較になりません。
セミリタイアには、健康維持と認知症予防、社会との繋がりを持ち、適度に身体を動かすことは、将来の健康寿命を伸ばし、老後の最大の支出リスクである「医療費・介護費」を抑える最高の節約効果も期待できます。
しかも、セミリタイアの場合はその仕事にしがみつく必要がないため、人間関係などで嫌な思いをしたのであればいつでも辞めて問題はなく、精神的にも安定しやすいメリットがあります。

まとめ

今回は、早期退職の損得勘定について解説しました。大企業を中心に早期退職の動きが広がっており、該当する年齢の方にとっては切実な問題です。安易に一時的なお金に飛びつくのではなく、セカンドライフのことも入念にシミュレーションした上で検討しましょう。
早期退職をしたとしても老後破産を回避する方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。