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中間選挙を受けて株が大暴落!今まで起きたこと&これから起きることまとめ

    

2026年11月3日のアメリカ中間選挙では、民主党が上下両院で多数派を取りました。
株価は翌日に大きく上がり、その翌日に大きく下がりました。今回の急落の中心は、市場全体の崩れというより「AIブーム」の見直しと言われています。
最初に結論を述べておくと、長期目線で積立投資をしている人にとっては、慌てて方針を変える場面ではありません。
この記事では、選挙直後に何が起きたか、これからのリスクと備え、チャンスの考え方を順に整理していきたいと思います。

選挙直後に起きたこと

まず、アメリカの中間選挙で何が起きたのかをおさらいしておきましょう。
結果は、民主党が上下両院を制しました。
民主党は下院と上院の両方で多数派を取りました。この記事の執筆時点では上院のミシシッピ州とアラスカ州の議席はまだ決まっていませんが、民主党の勝利は確定しています。
新しい議会が始まるのは2027年1月3日で、それまでは今の議会が続きます。
予想を超えたのは勝ち幅でした。全米最大のデータセンター市場であるテキサス州の知事選でも、民主党候補が番狂わせで勝っています。AIデータセンターの建設を抑えると訴えた候補も、全米で数百人当選しました。
やはり、やりたい放題だったトランプ大統領に対して嫌気がさした国民が多かったということなのでしょう。いろいろと言われていますが、筆者はそれが最大の要因だったと思います。

選挙翌日は株価が大きく上がった

細かい時系列でみると、開票途中に株価の先物は一時下がりました。その後トランプ大統領が結果を受け入れ、民主党と協力すると表明します。
選挙をめぐる混乱への不安が和らいだのか、株価は大きく上がりました。

  • NYダウは1,569ドル(3.03%)上がって53,356ドル。2025年4月以来の上げ幅です
  • S&P500は1.58%上がって7,688。中間選挙の翌日としては1982年以降で2番目の上げ幅でした
  • 原油が8%以上下がり、長期金利とドルも下がりました

再生可能エネルギー株、ヘルスケア株、アマゾンやアルファベットなどの大手テック株が上がりました
ただ、この日すでに逆の動きも出ていました。データセンターの建設会社や電力設備の会社は、最大で20%以上下がっています。CoreWeaveなど、AI向けにクラウドを提供するいわゆる「ネオクラウド」の銘柄も売られました。

選挙翌々日はAI関連株が一気に売られた

選挙の翌々日から、少々雲行きが怪しくなってきます。民主党の政策も絡んで、AIデータセンター投資が鈍るのではという不安が市場全体に広がりました。

指数・銘柄 11月5日の下落率 補足
S&P500 -4.4% 2025年4月の関税ショック以来の下げ。11業種すべてが下落
NASDAQ総合 -5.5% 10月の最高値から11.9%下がり「調整局面」入り
NASDAQ100 -6.4% 2020年3月以来の下げ
ダウ -3.4% -1,833ドル。選挙翌日の上げ幅をすべて失った
フィラデルフィア半導体指数 -12% 過去2番目の下げ
エヌビディア -9.3% S&P500を最も大きく押し下げた
日経平均 -1.8% 韓国のサムスン電子とSKハイニックスも大きく下落

韓国のサムスン電子とSKハイニックスも大きく下落

S&P500全体の時価総額は、1日で約3兆ドル減りました。半導体大手2社の決算見通しが期待を下回ったことも、下げを大きくしています。
押さえておきたいのは、実はAI株の弱さが選挙前から始まっていたことです。ゴールドマン・サックスのAI関連株指数は、10月だけで15%下がっています。今回の選挙はもともとあった「AIへの投資は行き過ぎでは」という不安を一気に表に出すきっかけになったと見るのが自然です。
韓国のサムスン電子とSKハイニックスは、どちらも半導体関連株の代表格です。この両銘柄が暴落したのも、不穏な空気を象徴していました。

これによって起こりうること、リスクとその備え

これから数か月は、「下げが続くかどうか」より「値動きが荒い状態が続く」と考えておくほうが現実的です。
主なリスクは次の4つです。

1. AI・データセンターへの規制が強まる

民主党が多数派の議会では、AI業界への監視や調査を強まるとみられています。
州レベルでデータセンター建設が止まれば、AIインフラ株やクラウド企業の業績予想に影響が出るとUBSは指摘しています。
ただし新議会の発足は1月で、州ごとの建設停止も法律を作って成立させる必要があります。
つまり今の株価は、まだ起きていないことを先取りしています。予想より規制が穏やかなら反発する可能性もあります。
AIが今のアメリカ経済をけん引しているのは間違いないので、それをみすみす弱体化させるような政策はとらないのではないかと筆者はみています。

2. インデックス投資も大きく揺れる

S&P500やNASDAQ100は、AI関連の大型株を多く含んでいます。そのため「広く分散しているつもり」でも、実際には特定の分野に偏っています。
11月5日には、エヌビディア1社だけでS&P500を最も大きく押し下げました。
つみたてNISAでインデックス積立をしている人も多いと思いますが、一見関係がないように見えて、実は現在の荒れた株式市場の影響は受けます。

3. 政府機関の閉鎖や債務上限をめぐる対立

2027年からは、大統領は共和党、議会は民主党という「ねじれ」の状態になります。豪州の運用会社QICは、政府機関が閉鎖されるリスクや、2027年の債務上限をめぐる交渉で財政赤字が広がるリスクを指摘しています。こうしたニュースのたびに、株価や金利が揺れやすくなります。

4. 円高と金利の動き

選挙後はドルと米国の長期金利が下がりました。10年物国債の利回りは、1か月前の5.3%超から4.85%前後まで下がっています。
ドル安・円高が進むと、日本から買っている米国株の評価額は、株価以上に下がることがあります。また、金利トレーダーは次のFRB利上げの時期の予想を、早くても3月へと後ろ倒ししています。しかし、イラン戦争や原油価格次第で、この見通しはまた変わります。

備えとしてやっておきたいこと

これから起きることを想定したうえで、今のうちからやっておきたいことをまとめました。

①保有資産の中身を確かめる:米国株・ハイテク株・半導体の割合がどれくらいか把握する。投資信託なら「組入上位10銘柄」を見るだけでも偏りがわかります。
②生活防衛資金を別に用意する:生活費の数か月分を現金で持っておくと、下げたときに売らずに済みます。投資家風の表現にすると、「現金ポジションを増やしておく」となります。
③「どこまで下がったらつらいか」を先に決める:評価額が20〜30%減ったときに積立を続けられるか、数字で想像しておきます。
④ 日々の値動きを見すぎない:1日の上げ下げで方針を変えるのが一番の失敗のもとです。選挙翌日の上げが翌々日に消えたように短期の動きは読めません。

チャンスととらえるなら、何を、どう狙うべきか

長期の投資家にとって、急な下げは「安く買える期間」でもあります。ただし、どこが底かを当てることはプロでもできません。その前提で、狙い方を安全な順に整理します。

狙い方1:いつもの積立をそのまま続ける(いちばん確実)

毎月同じ金額で買う積立は、価格が下がるとその分多くの口数を買えます。何も変えないことが、そのまま「下げを活かす」ことになります。過去の中間選挙のあと、米国株は12か月で平均12.4%上がっています。ただし経済の状況は毎回違い、将来もそうなるとは限りませんが、ドルコスト平均法を味方につける投資の優位性は変わらないと思います。

狙い方2:余裕資金で買い増すなら時期を分ける

まとまった資金を入れたい場合も、一度に買う必要はありません。たとえば、入れたい金額を3〜6回に分け、1か月おきに買う方法です。さらに下がっても次の回で安く買え、反発しても一部は安いうちに買えています。先物や信用取引など、借金で買う方法は値動きが荒い今は特に危険です。ドルコスト平均法による長期投資の基本に立ち返りましょう。

狙い方3:個別株やテーマを狙うなら「財務の強さ」で選ぶ

今回売られたのは、AI関連の中でも性格の違う企業が混ざっています。専門家の間でもこの売りは「AIの需要がなくなった証拠ではない」という声があります。
そのうえで、買うなら少しずつ、財務が強く実際の顧客契約を持つ企業を優先すべきだという意見が多く見られます。

タイプ 選挙後の動き 考え方
大手テック(アマゾン、アルファベット、アップルなど) 4日に大きく上昇、5日に下落 AI投資が抑えられれば手元のお金が残りやすいという見方もある。財務は強い
半導体(エヌビディア、AMDなど) 5日に10%前後下落 データセンター投資のペース次第。値動きはとても大きい
ネオクラウド、データセンター建設 4日の時点で大きく下落 規制の影響を直接受ける。借入の多い企業もあり、最も投機的
再生可能エネルギー、ヘルスケア 4日に上昇 民主党の政策と相性がよいと見られた。ただし大統領の拒否権があり、政策が大きく変わるとは限らない

狙い方4:株以外の選択肢も見直す

米国の長期金利は下がったとはいえ、4.8%台とまだ高い水準です。金利が下がると債券の価格は上がるので、株と債券を組み合わせると全体の揺れを小さくできます。
ただし日本から外国の債券を買うと為替の影響を受けるため、円高になるとその分は損になります。選挙後に上がった貴金属も、分散の一つとして少し持つ人がいます。

まとめ

選挙のような大きな出来事のあとは、「何を買うか」より「自分のルールを守れるか」で結果が分かれます。
どの党が勝っても、長期の株価を動かすのは企業の利益と経済です。米大手資産運用会社のブラックロックも、政治を理由に投資を決めると損をしやすいと指摘しています。積立投資をしている人は、下げたときに止めると安く買える時期を自分から手放すことになります。新NISAのつみたて投資枠など、長く持つほど非課税のメリットは大きくなります。ここは冷静かつ粛々と積立を続けることをおすすめします。
ただし、投資を続けるのにおいてアメリカ偏重が不安ということであれば、さらなる分散も有効です。S&P500やNASDAQ100だけだと、米国とAI関連に偏ります。全世界株式、日本株、債券などを組み合わせると、今回のような下げの影響を小さくできます。
短期目線で一喜一憂するのも、おすすめしません。2018年にも民主党が下院を取り、S&P500は翌日に2.1%上がりました。しかしその1か月後には2.2%下がっています。選挙直後の値動きを当てるのはほぼ不可能という前提で振り回されないようにしましょう。
まとめると、今回の急落は選挙をきっかけに「AIブーム」が見直されたものです。長期・分散・積立という基本を守っている人にとっては、むしろ持ち方を点検するよい機会だといえます。