不動産投資をお考えの方に知ってほしい現実(後編)
「不動産投資ってどうなの?儲かるの?」と、ご検討の方に知っていただきたい現実について、当記事はその後編です。前編でお伝えしたことは、特に新築ワンルームマンション投資の危うさです。それをお読みになった方は、特に新築ワンルームマンション投資に参入する気が失せてしまったのではないかと思いますが、不動産投資のすべてが悪いわけではありません。さすがにカチケンとしては新築ワンルームマンション投資は推奨しませんが、それ以外の物件を選んで成功している投資家もたくさんいます。
今回は後編として、不動産投資への参入を本気でお考えの方のために、現役大家さんへのインタビューと不動産投資に成功する方法について解説します。後編ではあるひとつの結論を導いてみたいと思いますので、不動産投資への参入をお考えの方は、これを読んでから判断していただければと思います。
この記事の目次
1.不動産投資の現実を、現役大家さんに聞いてみた
ここでは大阪市内で実際に不動産投資をしている現役大家さんにインタビューをした内容をご紹介します。この大家さんは資産家の出身ではなく所有物件ゼロから始めた方なので、同じ状況からスタートしたい方にはとても参考になると思います。
1-1.ずばり、儲かってますか?
最初にお聞きしたことは、「ずばり、儲かってますか?」という単刀直入な質問です。あまり所有物件について細かく紹介すると本人を特定されてしまうのでぼかしますが、大阪市内に戸建て住宅数軒、アパートを1棟、区分マンションを数戸保有中です。
この布陣で、毎月のキャッシュフロー(大家さんの手残り)は80~100万円程度あるとのことで、不動産投資家としては成功している部類に入るでしょう。現在の布陣になるまでに20年程度を要しているので、逆に考えると全くの物件ゼロから始めても20年くらいでここまで来ることができるともいえます。
まずは、この大家さんを目指してみてはどうでしょうか。それでは次に気になる、成功までの軌跡を解き明かしていきましょう。
1-2.なぜ、不動産投資を始めたのですか?
不動産投資を始めた理由は、先行きへの不安からと経済的自由が欲しかったからだそうです。大学を卒業してサラリーマンになったものの、毎日同じことの繰り返しをしているうちに「いずれたまらなく嫌になる時がくる」と確信していたそうで、そうなった時に何もなければ我慢し続けなければならないので、早いうちから手を打っていこうというのが不動産投資に参入したキッカケでした。
しかし、最初の不安はとても大きかったそうです。何せ数千万円もの借金をして自分が住むわけでもない不動産を買うのですから、失敗したら破産も覚悟しなければと思いながらのスタートだったそうです。しかもこの方は、自分が住んでいる家は公営住宅なので、持ち家を買う前に収益物件を買ってしまったのでした。
1-3.成功できた理由は何だと思いますか?
今では100万円近いキャッシュフローを毎月稼いでいるこの大家さんは、カチケンがこれまで見てきた中でも十分成功しているレベルです。それではなぜ、この大家さんは成功することができたのでしょうか。ここで聞けたお話に、成功へのヒントがあると感じました。
この方は自分でも小心者であることを自認しており、とにかく「失敗したらどうしよう」というマイナス思考の連続だったそうです。しかしこれは投資家として重要な資質で、根拠もないのに楽観的であることは最も怖いので、これくらい慎重でちょうど良いと思います。最初は戸建て住宅を1軒買ったことからスタートしたそうですが、それも「戸建て住宅は空き家になりにくい」という理由からでした。これは正解で、不動産投資のあらゆるデータでも戸建て住宅は流動性が低く、一度入居した人は長期にわたって住み続けることが多いことが分かっています。
物件選びの段階から慎重を期してきたこの方ですが、さらに入居者対応にはとても気を付けていたといいます。何らかの不具合が発生したらすぐに対応、修理をしたり、入居中の物件に別の人から問い合わせがあったら連絡先を控えておいて、「空きになったら必ず連絡します」として本当に連絡をするようにしていたそうです。
こうしたきめ細かな対応は不動産投資家として成功できる資質そのものなので、それが功を奏したといえます。
1-4.これからはどう展開していく予定ですか?
順調に物件数を増やしてきたこの大家さんに、今後の展開についても聞いてみました。その答えは、意外なものでした。
すでに現在の布陣で満足しているとのことで、今後何か特別良い情報が入ってこない限りは積極的に物件を買い増すつもりはないとのことです。理由は、現金資産を確保しておきたいことと、不動産以外の投資もしておいてリスクを分散させたいからとのことでした。ここにも慎重さが出ているのが印象的ですが、このように最初からゴールを設定しておいてゴールに到達したらそれ以上の拡張を考えないのも、ひとつの成功パターンです。
毎月100万円近くの収入があるのですから、他の投資に回すお金も十分あることでしょう。今は株やETFなどを積み立てて、そこからの配当収入も増やしていきたいとのお話でした。
1-5.これから不動産投資を始める人へアドバイスをお願いします
最後に、これから不動産投資を始める人のために成功のアドバイスをいただきました。これはとてもシンプルなものだったので、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。
ここでいただいたアドバイスは、分かりやすく箇条書きにしました。
- 不動産の大家になることは決して楽なことではないと心得る
- 所有物件も入居者も大切な財産なので、とにかく大事にする
- 決して欲張りすぎず、今あるものしっかりと利益を残していく
- ゴールを設定して到達したらそれ以上規模を大きくしない
- 家族や身近な人にはしっかりお金をかける
一見すると不動産投資とは直接関係がないものもありますが、これも大家さんとしての生き様に必要とのことでした。あまりケチケチせず周りの人たちにも感謝して生きていくのが大事だということでしょうか。
2.不動産投資に期待しすぎている人に知ってほしい現実
ここからは、これから不動産投資を始めようとしている方に知っていただきたい現実です。とはいえ、前編で述べたような「やめておけ」という理論ではなく、ここでは現実を踏まえた上で不動産投資を始める方にこれだけを知っておいていただきたい「現実」のお話です。
2-1.不労所得だと思っている人は成功しない
「不動産投資は不労所得」「物件が勝手に稼いでくれる」といった宣伝文句を目にすることがありますが、これが嘘であることはすでに述べてきた通りです。何もしなくてもお金がウハウハと入ってくる仕組みがあるのであれば、全国民が不動産投資を始めれば良いと思います。
もう言うまでもないと思いますが、不動産投資はれっきとしたビジネスであり、不労所得ではありません。事実、後編でご紹介した大阪の大家さんも実に働き者で、物件と入居者の管理にしっかりと時間と手間を使っています。だからこそ成功していると言っても過言ではありません。
「よーし、不労所得をもらうぞ!」では成功しないので、「よーし、しっかり働いて稼ぐぞ!」という意識を持つようにしてください。実際にどの大家さんも勉強家で研究熱心、それでいて働き者です。
2-2.将来のためだけではなく、今のことも考えよう
新築ワンルームマンション投資ではキャッシュフローが赤字になることがあると述べました。仮に黒字を確保できたとしても、実質利回りが1%を下回ることも珍しくありません。こんな投資にメリットなんてあるのかとお感じだと思いますが、そこで不動産会社はすかさず「今は利回りが低くても資産形成が進むので、将来に必ずリターンとなります」というセールストークを繰り出してきます。
これは一理あるように見えるのですが、カチケンとしては投資である以上キャッシュアウトする時期があっては意味がないと考えています。値上がり期待で買った株が値下がりしてしまったのとはわけが違います。なぜなら、株を買うために借金をする人はいないからです。しかし、不動産投資では数千万円規模の借金をすることが普通なので、その返済があるのにキャッシュアウトしてしまっては、持ちこたえられなくなったら即破産です。
少なくともローン返済を含めてもトントンもしくはそれ以上になる目算が立たないようであれば、将来のためというトークは無視してください。将来のために今破産してしまっては元も子もありません。
2-3.日本全国で空室が増え続けている現実を認識しよう
日本はすでに人口が減少を始めています。その一方で毎年、万単位で住宅が新築されています。これっておかしいと思いませんか?こんな状況が続けば日本中が空き家だらけになるのでは、と思ってしまいますよね。
これがすでに、現実として起きています。日本全国の空家数はすでに900万戸に迫る勢いで増加を続けており、この傾向は今後も続きます。しかし、空き家が増えていると言っても人口減少が著しい地方や過疎地の話だと思っていませんか?実は空き家の数が最も増えているのは首都圏や関西圏といった大都市圏なのです。こうした地域では新築住宅の数も多いので、必然的に不人気物件はどんどん空き家になっていくのです。
しかし、その一方で外国人需要やますます都市部への人口流入が続くことを考えると、都市部での住宅需要は健在です。見るからに空き家だらけになっている地区がある一方で、家賃相場が高いのに人気となっている地区もあることは、体感的にもお分かりかと思います。このどちらで物件を所有するべきかは、もはや説明不要でしょう。
2-4.古い=悪い物件ではなく、好立地の場合もある
日本人は新しいものを好む傾向があるので、新築や新車が高くても購入する人は多くいます。そのため築年数が古くなっているマンションやアパートは不人気になりやすいと思われがちです。アパートは法定耐用年数がそもそも短い(17年)ので、それを過ぎた物件は融資がつきにくいなどの事情で投資の現実味が薄れるのですが、マンションは法定耐用年数が47年もあるので、このことを考えても少々古くなったくらいでは使い物にならないようなことはありません。
実際に賃貸経営をしてみると分かるですが、不動産は1にも2にも立地です。少々古い建物であっても急行や特急が止まるような主要駅から徒歩数分という立地であれば、そこは間違いなく人気物件になっているはずです。
まだその地区が都市化していなかった当時、周囲はおそらく田園地帯かそれに近い状態だったことでしょう。そんな場所が都市化をし始めると、やはり駅から近い好立地の場所から順に開発され、マンションも建っていくはずです。こうした経緯から駅近の築古物件は意外に多く、しかもそのほとんどが満室経営です。
新しい建物はそれだけで集客力を持っていますが、いつまでも新しいわけではありません。しかも立地がイマイチだと新しさが失われた直後から人気が急落してしまうのです。しかし、立地条件が古びてしまうことはありません。不動産投資で立地条件を重視するべきと口酸っぱく述べているのは、このためです。
2-5.融資の審査に通ったからといって成功とイコールではない
多くの場合、不動産投資を始める際に銀行などの融資を利用することになります。そのほうがレバレッジ効果といって投資効率が高くなるので、不動産会社もそれを推奨するはずです。しかし、相手は銀行です。銀行の融資といえば最も審査が厳しく、そのために膨大な事業計画書を作成した、なんて話もよく聞きます。
不動産投資もれっきとした事業なので、そのための資金を引っ張るには銀行の厳しい審査をクリアしなければなりません。逆に考えると、銀行の審査に通って融資を受けられたということは、銀行も太鼓判を押していると思いたくなりますよね。
しかし、ちょっと待ってください。銀行の融資を受けるには購入予定の物件を担保として差し出す必要があるわけで、銀行としては最悪そこから回収できればOKと考えている可能性もあるわけです。投資家が賃貸経営を成功させようと、失敗しようと、回収できれば問題ないと考えているとしたら「融資OK=成功確定」ではないことが分かります。
もし不動産会社が「銀行融資に通れば大丈夫」と言ったとしたら、それも眉に唾を付けて聞くようにしましょう。
3.現実を踏まえたうえで不動産投資を始めたい方へ
それでは最後に、ここまで述べてきた現実を踏まえたうえで不動産投資を始めようとしている方に、先輩大家さんからのお話も交えてアドバイスをしたいと思います。これらを実践できない方は、そもそも不動産投資はやめておきましょう。
3-1.新築はNG、中古物件を物色しよう
再三述べてきているように、数ある不動産投資の中でも新築ワンルームマンション投資はおすすめしません。その一方でおすすめできるとしたら、中古区分マンションもしくは中古一棟マンション投資でしょうか。安く買える物件と出会えるのであれば、中古一棟アパート投資も有望です。これらはいずれも中古物件を前提としており、新築ではありません。
ワンルームマンションに限らず、新築は初期コストが高すぎるので、どれだけ家賃収入を稼いでも利回りが高くなりません。しかも新築と呼んでもらえるのは最初だけで、数年後には新築ではなくなってしまうのです。資金規模が大きい資産家やベテラン投資家であれば別ですが、そうでなければ最初は中古から物色するようにしましょう。
3-2.できることは自分でやろう
不動産投資はさまざまな業務をアウトソーシング(外部委託)できることがメリットであると、よくネット記事などでの記述を見かけますが、これを鵜呑みにして何でもかんでも人任せにするとコストが増えてしまいます。家賃の回収や不具合が起きた場合の修理手配などは、小規模であれば自分自身でもできます。これも経験なので、最初はコストダウンも兼ねて自分でできることは自分やりましょう。
3-3.売上ではなくキャッシュフローに敏感になろう
不動産投資の収支は、主に以下のような構成になっています。
<収入>
・家賃収入(毎月)
・売却益(売却時に利益が出た場合のみ、1回だけ)
<支出>
・ローン返済
・維持管理費
・税金
この両者を差し引きした時に収支がプラスになっていれば、その投資は成功です。不動産投資を考える時に家賃収入がいくらになるのかにばかり注目してしまいがちなのですが、そこからいくら差し引かれて、最終的にいくら手残りがあるのかを考えなければなりません。その視点に立つと支出にもシビアになれるはずで、特に支出の大部分を占めるローン返済をいかに低く抑えるかが成否を分けます。
カチケンが中古物件による投資を推奨しているのはそのためで、ローン返済を抑えられるのであれば、少々家賃相場が低くなっても構わないと思います。最初から欲張ろうとはせず、まずはスモールビジネスから始めましょう。
3-4.遠隔地など土地勘のない場所ではやらない
不動産は1にも2にも、立地です。その立地についての土地勘があることはとても重要なので、ご自身がお住まいの地区やその周辺など、できるだけ土地勘のある場所で始めるようにしましょう。お住まいの近くであればこまめに物件に足を運ぶこともできますし、何かあった際の対応もしやすくなります。
よく「東京のマンション投資がおすすめ」ということで東京以外の人に東京の物件を販売する広告を目にしますが、これも失敗が目に見えているのでやめておきましょう。ご自身が東京の、しかもその物件がある地区に住んでいたことがあるなどの縁があれば良いですが、行ったこともないような街の不動産事情など分かるはずもありません。そんなものに数千万円も借金をしてお金を投じるのは絶対にNGです。
3-5.リノベーション物件も勝算アリ
立地条件の良い中古物件から始めることをカチケンではおすすめしていますが、あまりにも築年数が古く、見た目にも不人気になりそうな物件もあります。そんな場合は、リノベーションによって再生するのもアリです。100万円もあれば近代的な物件に変身させることも十分可能なので、コストパフォーマンスは高いと思います。
最近では若い人を中心にリノベーション物件を好む傾向があります。敢えて古い雰囲気を持った物件を好んだり、歴史的な価値のある物件に住みたいと思うような人たちです。価値観の多様化によってこうした人たちも有望なマーケットになってきているので、好立地の中古物件をリノベーションすることは大いに勝算があると思います。
4.まとめ
前編、後編にわたって不動産投資の現実について余すところなく述べてきましたが、いかがでしたか?やっぱりやめておこうと思うのも立派な判断ですし、特に後編で解説したような注意点に留意しながら始めてみようという判断も大いにアリです。大切なのは、ひとつのビジネスを起業する感覚と、それに向けて覚悟と努力です。物件選びさえ間違えなければ、努力が報われやすい世界ではあると思うので、これから始められる方は頑張ってください!

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