オトクに生きて勝ち組を目指す研究所

思ったよりハードルが高いかもしれないFIRE、『サイドFIRE』なら実現は可能?

    

こんにちは、編集者Mです。働き方を選ぶことは生き方を選ぶことと言っても過言ではありませんね。お金がなければ衣食住は成り立ちませんし、自分自身はもちろん、結婚や介護、すべてに纏わってくるものです。理想としてはミニマリストみたいに要らぬものを断捨離してすべてをクリーンに片づけて、丁寧な暮らし。夢のような話です。もしかするとFIREという考え方はミニマリストに通じるところがあるから多くのクレバーな若者に受け入れやすい、理想の働き方としてイメージしやすいものなのかもしれませんね。

ご存知の方も多いと思いますが、基本的な話として『FIRE』とはFinancial Independence, Retire Earlyの頭文字を取ったものです。アメリカで生まれた考え方で、経済的自立を遂げて早期リタイアしようというものです。令和において終身雇用制が完全に失われたわけではありませんが、2019年、トヨタ自動車の豊田章男社長が「終身雇用の維持は難しい」と発言した記憶も新しく、また終身雇用制の代名詞とも言える大企業トヨタの発言であるインパクトは、日本中に動揺をもたらしまた。

しかし、時代がそう動くのなら流されるのでなく選び取ってゆくことが勝ち組へのルートです。『FIRE』という生き方、働き方はその中でも建設的な考え方と言えるでしょう。このFIRE、完全に仕事を辞めてリタイアするほかに、セミリタイア=『サイドFIRE』という考え方も話題になっています。今回はサイドFIREとは何か、そのメリットとデメリットなどを紹介していきます。

FIREに必要な資産額は年間生活費の25倍

あらためて『FIRE』とは「Financial Independence, Retire Early」を略した言葉で、「経済的自立と早期リタイア」のことをあらわしています。具体的に「経済的自立」とは、労働収入に頼らなくても生活ができる状態を指しており「定年までにもらう給与+年金や健康保険の金額+老後の資金」を合算した金額より多い必要があるとされています。貯金があっても収入がないならば資産は目減りしていく一方ですので、適切な利回りで運用し、その利率で生活をしていくことが大切です。FIREがいわゆるただ早期リタイアすることと違うのは、リタイア後の人生を貯金だけで生活することが前提にはなっていないことです。基本的にFIREは、資産運用が前提となっています。若いうちに働いてお金を貯めて、その資産を運用し、その『運用益』で生活できる目途が立った段階でリタイアするものです。

この『資産運用の利率』で生活していくためには、年間の生活費のおおよそ25倍の資産額が目安とされています。総務省統計局が行った「家計調査報告」を参考にするならば、2人以上の世帯の場合、2022年(令和4年)7~9月期平均消費支出は月28万5429円。これを12倍すると約343万円となります。2人以上の世帯でFIREをするならば、343万円×25で8575万円が必要です。単身者ならば半分と考えて、約4250万円です。

ただ、もし資産運用を前提としていない場合なら、人生資金が枯渇しないように多額の貯えが必要です。起業やビジネスで大成功するか、多額の遺産を相続する、宝くじに当たるなどのケースでない限り、実現はなかなか現実的でありません。一方、FIREの場合、お金をあまり使わないライフスタイルに構築していけば実現は可能です。FIREとはお金持ちになることを目指すのでなく、自分らしい人生と時間を楽しむことに重点を置いているのが特徴なのです。

必ずしも幸せかどうかはわからないFIRE

会社から縛られず、労働からも解き放たれて好きなことに時間をもてるFIREに憧れて目指す方は少なくありません。書店ではFIREにまつわる書籍が平積みされているのをご覧になった方も多いでしょう。ただ、FIREは万人にとって幸せなのでしょうか。まず趣味が無い、会社以外に友人がいない、社会につながっていない…まず『仕事が好き』であり、生きがいを感じている。そんな方にとっては、なんだかちょっと違うと感じるところも大きいかもしれません。また、一旦FIREしていたなら職歴の空白期間から再びの就職が難しくなる場合もあり、注意が必要です。

また根本的に倹約や節約が苦手だったり、ミニマムな暮らしがしたい訳でない場合、資産の取り崩しが不安であったりする場合も、FIREには向いていないかもしれません。資産運用が順調にいくかどうかはやはりリスクも伴いますので、手元の資産で補填することも想定の範囲に含まれるからです。突然の病気、事故、親の介護などを想定し考えておかなければ、想定外のマネーピンチには対応できません。安心にFIREするためには、ある程度まとまったお金が必要なのです。

「サイドFIRE」という選択肢

FIREは難しくても完全にリタイアする以外の方法『サイドFIRE』についてご紹介します。従来の基本的なFIREは、資産運用による収益で暮らすことを目指すとされていますが、サイドFIREは資産運用をしながら副業など、勤労収入と合わせて生活していくことです。ただし、やはりFIREと同じく、必要最小限の贅沢しない暮らし方と、無駄な支出を減らす努力も必要です。贅沢に暮らすのでなく、将来の楽しみのために節約できる考え方と生き方です。

得意分野や好きなことを生かして、自分のペースで働いていくこと。自分らしく働きながら経済的自立を目指すのがサイドFIREです。従来のFIREは資産運用で暮らしのベースをつくり、リタイアで自由時間というものですが、社会とのつながりが希薄になり孤独になる不安も伴います。サイドFIREを選択することで、仕事を通じて社会と繋がり続けたり、新しい人間関係を広げていったりすることも叶います。

サイドFIREに必要な資金は?

FIREでは1年間の生活費を300万円とした場合、投資収益だけで生活するにはその25倍、7,500万円程度の投資元本が必要です。7,500万円の投資元本を仮に年利4パーセントで運用できるとすれば、毎年300万円(7,500万円×4パーセント)の投資収益を得られるため、その利益で生活費をカバーできるという考え方です。

もし完全なリタイア=FIREではなく『サイドFIRE』をめざすなら、7,500万円も必要ありますでしょうか?投資収益だけで生活するのでなく、副業の収入で生活費の一部を補うことが可能ならば、投資元本として必要な金額は下がってきます。『サイドFIRE』を選択したモデルケースとして、年間生活費の半分、170万円を労働収入で得られれば、必要な手元資金は4250万円となります((343万円-170万円)×25=4250万円)。

サイドFIREを行う場合のデメリットと注意点

『サイドFIRE』にはデメリットもあります。投資はリスクを伴うため、相場の変動により資金が大きく減る可能性を考えておかなくてはなりません。親の介護や子どもの進学、想定以上に働く必要が出てくることもあるでしょう。また、インフレや物価上昇についても想定しておくことが大切です。資産運用の利率であったり、目標資産の額はあくまでも想定目安です。金融危機が起こったりすれば資産が一気に目減りしてしまう可能性もあります。「想定外のできごとがあったり、うまくいかなくなったときはどうするか」リスクヘッジシミレーションをしておくことが大切です。

FIRE、もしくはサイドFIREのポイント

FIRE、サイドFIREをするかしないかを選ぶ上で大切なポイントは、リタイア・仕事を辞めることが目標ではなく、人生の時間を何につかうべきであるのかということです。節約や投資、副業などをうまく活用することで、仕事と会社一筋である人生から自分を解放する、いわば生き方を選ぶという事です。いまの仕事や会社、人生に生きがいを感じている人や、あらためてこれからしていく投資や資産運用について手を出したくないという人向けの生き方ではありません。会社や仕事に時間をしばられたくない、家族ともっと時間を過ごしたい、世界を歩いてみたい。創作や趣味、特技を生かして副業で生きたい・もしくはそれを生業の中心にしつつ、投資・資産運用で生きていきたい。そういったタイプの人生を選ぶ方にFIRE、サイドFIREは選択肢となり得ます。

おわりに

金銭的に豊かである贅沢な暮らしをするのでなく、あくまで人生の時間を豊かに生きるために「FIRE」「サイドFIRE」という選択肢があることをおわかりいただけましたでしょうか。近年ではパートタイムの仕事などを収支に組み込む「バリスタFIRE」など、より実践のハードルが低いFIREのかたちも生まれてきています。資産運用で生活するのが基本のFIREですが、サイドもバリスタも、それで補いきれない生活費分を働いて補填するという発展形のものです。FIREという生き方を選択する目的はあくまで「自分のペースで生きる」ことです。稼ぐために生きているのか生きるために稼いでいるのかを明確に選ぶことが幸せにつながり、勝ち組と言えるでしょう。せっかくFIREしても、完全に社会から孤立するための方法となってしまっては人生が無駄になってしまいます。自分の特技を活かして「経済的自立」を実践する。これはFIREでもサイドFIREでもおなじく幸福な道です。

ちなみに副業やパートとはいっても定義は非常に広いので、個人事業主(フリーランス)、YouTuber、アフィリエイター、印税収入など様々です。個人の特性として社会とつながりつづけたい方の場合、それをもった上に副業で稼ぐ金額が増えれば、リタイアに必要な投資元本は減り、幸福も維持されます。また、副業で稼ぐ金額が少ないならば、基準となる年間生活費そのものを見直すという対策も取ることができるでしょう。FIREムーブの第一人者であるグラント・サバティエ氏は経済的自立の準備として「いま働いているフルタイムの仕事の給与を最大化しつつも、休日や隙間時間を利用して自分の特技を生かした副業を始めるべきだ」としています。

フルFIREに比べて実現ハードルが低く、安定感の魅力も備えたサイドFIRE。FIREには憧れるけどすべてを運用益で賄える自信がない、また貯金もそこまで貯まらない。社会や人と関わることが好き。完全リタイアは考えにくいとお考えの方はサイドFIREも検討してみてはいかがでしょうか。