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超円安・インフレ時代に挑むFIRE戦略 個人ができる資産運用と家計防衛策

    

世界的なインフレが進行している現在、原油をはじめとする原材料価格の高騰、輸送コストの上昇、新型コロナウイルスの影響、そしてウクライナ侵攻など、複数の要因が複雑に絡み合っています。これに加えて、ドル金利の上昇が日米金利差を拡大させ、為替相場でも円安ドル高が進行しています。こうした厳しい経済環境下で、「FIREを目指すのは困難なのでは?」と不安を抱く方も多いでしょう。そこで今回は、「超円安・インフレ時代に挑むFIRE戦略」をテーマに、個人が取り組める資産運用と家計防衛策についてお話ししていきます。

1.「FIRE」には大きく分けて2つのアプローチがあり、どちらを選んでもインフレリスクは織り込み済み

1-1.まず、FIREという概念を整理しておきましょう

FIREは単なる投資方法ではなく、人生の生き方やライフスタイルを表すものです。FIREと一口に言っても、実際には大きく分けて2つのタイプが存在します。

最初のタイプは「フルFIRE」と呼ばれるもので、これは資産を7,000万円以上にまで築き上げ、その後は仕事をリタイアし、資産の運用益のみで生活するスタイルを指します。ちなみに、フルFIREにはさらに2つのサブタイプがあり、それぞれ異なる特徴を持っています。一つ目のサブタイプは「リッチ型FIRE(Fat FIRE)」です。これは高収入や事業の成功、または投資で大きな収益を得て、数億円に及ぶ十分な資産を確保したうえで早期リタイアするスタイルです。しかし、このリッチ型FIREは非常に高い再現性を求められるため、実現するのは極めて難しいと言えるでしょう。
もう一つのサブタイプは「超節約型FIRE(Lean FIRE)」です。こちらは極端な倹約生活を実践し、生活費を極限まで抑えた上で資産運用の収入だけで生活するスタイルです。生活に必要な支出が少ない分、必要とする資産も比較的少額で済みます。そのため、再現性が高いという利点はありますが、誰もがこのスタイルを理想とするわけではなく、個人の価値観や生活の質に大きく依存します。もう一つのFIREのタイプは「サイドFIRE」です。サイドFIREは、資産運用による収入に加えて、働いて得る収入も併せ持つ、いわばダブルインカムで生活するスタイルです。このスタイルでは、資産運用からの収入があるため、現役時代ほど多くの労働収入を必要としません。そのため、好きな仕事に専念したり、時短勤務を選んだりと、労働面での自由度が高くなります。サイドFIREは、リスクを抑えつつ、日々の充実感を得ながら楽しく生活できるスタイルとして、多くの人にとって現実的で魅力的な選択肢となるでしょう。

1-2.「FIRE」とインフレリスクがリンクしない訳

FIREを達成するためには、資産を減らさずに維持することが不可欠です。その考え方の一つとして「4%ルール」があります。このルールは、「生活費を投資元本の4%以内に抑えることができれば、資産を減らさずに生活を続けられる」というものです。このルールの根拠となっているのは、米国のトリニティ大学による研究、通称「トリニティスタディ」です。

この4%ルールを基にすると、例えば年間で300万円の生活費が必要な場合、300万円を4%で割った7,500万円の資産が必要であると計算できます。言い換えれば、7,500万円の資産があれば、年間300万円の生活費を取り崩しても、資産は目減りしないというわけです。トリニティ大学の研究によれば、米国の市場は過去において年間平均7%の成長率を示してきました。単純に考えれば、米国株に投資をすると年間7%の利益が期待できることになります。
しかし、同時に米国では年間平均3%のインフレが発生しており、このインフレを考慮する必要があります。市場の成長率7%からインフレ率3%を差し引いた4%が、実質的な成長率を示しています。つまり、資産運用から年間4%を取り崩すことで、元本を減らさずに生活を維持できるのです。このように、4%ルールはそもそもインフレを考慮したものであるため、「インフレが進んだから資産運用戦略を見直さなければならない」というわけではありません。ただし、もしインフレ率が3%を超える状況になれば、運用戦略の見直しが必要になるかもしれませんが、現状ではその心配はないと言えるでしょう。

2.インフレに対してFIREを目指す者が真に対応すべきものは?家計の管理です!

一方で、インフレ対策として家計の見直しは避けて通れません。特に、電気代やガス代などの生活コストは、最近相次ぐ値上げに直面しています。東京電力の場合、2024年6月の一般的な家庭(平均モデル)の電気代は10,230円となっています。これは、2年前の2022年6月の8,565円と比較して約1,665円の増加です。さらに、2023年1月から2024年6月までの各月において、前年と比べて1,500〜2,000円の値上がりが見られます。電気代は、昨年と比べて年間で約3万円から4万円ほど高くなると予想されます。そしてガス代は、原料費の変動に応じて毎月料金が調整される「原料費調整制度」によって変動します。東京ガスの場合(東京地区等)、2024年6月の標準家庭のガス代は6,480円となっており、2年前の2022年6月の5,808円と比較して672円の増加です。ガス代も電気代と同様に、昨年と比べて年間で2万5,000円程度高くなると予想されます。

FIREを目指している過程で生活高熱費が増加するということは、その分だけ貯蓄や投資に回せる資金が減少することを意味します。商品価格の上昇に対して収入がそれ以上に増えれば理想的ですが、現実には収入が思うように伸びないことが多いものです。このような状況に対処するためには、戦略を検討する必要があります。
まず「FIREの達成時期を変更したくない」ならば、生活費を徹底的に見直し、節約をさらに徹底することが重要です。既に十分に節約を実践しているのであれば、思い切ってFIREの達成時期を見直すことが現実的な選択肢となるでしょう。あらためて、インフレに備えた対策はやはり、電気代やガス代の節約方法をも合わせて考えるて実践することが重要です。

3.電気代やガス代という光熱費は、異なる会社に乗り換えることで削減できる場合も

主要光熱費、電気代やガス代は契約する会社を変更することで削減できる場合があります。プランやプロバイダーを見直すことで、より安価なサービスを利用できる可能性があるため、検討する価値があります。電気料金やガス料金の比較が簡単にできるサービスを活用すれば、最適なプランを提案してもらえます。お住まいや家族構成、契約アンペア数、普段の電気使用量などに応じて、節約できる金額は異なりますが、年間で数千円から1万円程度の節約が可能なプランが多く提案されることがあります。さらに、電気代とガス代を同じ会社で契約する「セット割」を利用することで、料金を大幅に削減することもできます。例えば、3人家族の戸建て住宅であれば、年間で1万円以上の節約が実現できる場合もあります。
電気代を削減する一つの方法として、契約アンペア数の見直しが挙げられます。契約アンペア数を下げることで基本料金を削減することが可能です。例えば、40Aの契約があれば、複数の家電を同時に使用してもブレーカーが落ちることは少なく、契約アンペア数が50Aや60Aから40Aに変更することで、月々数百円の節約が期待できます。

資源エネルギー庁によると、夏や冬の日中の電力消費の半分以上はエアコンによるものです。省エネ対策として、以下のポイントが提案されています。まず、エアコンの電源をこまめに切るよりも、常に運転させて室温を一定に保つ方が効率的です。1時間程度の外出であれば、エアコンを切らずにそのままにしておく方が節約につながります。エアコンは設定温度に到達するために初めに大きな電力を消費するため、頻繁にオンオフすることが逆に無駄な電力消費を招くことがあります。さらに、エアコンの風向きを適切に調整することで、省エネ効果が得られます。冷房時には風向きを上向きに、暖房時には下向きに設定するのが基本です。冷たい空気は床に溜まり、暖かい空気は天井に溜まるため、扇風機やサーキュレーターを併用すると冷暖房の効果が向上します。
これにより、エアコンの設定温度を高めまたは低めに設定することで、電気代を節約することができます。窓の外側にすだれや日除けを取り付けることで冷房の効率が上がります。遮熱効果のあるカーテンや遮光シートを窓に取り付けることも有効です。これにより、冬場でも部屋の温度を適切に保つことができるため、エネルギーの無駄遣いを防ぐことができます。

4.まとめ 円安時代の資産運用戦略~為替レートに左右されずに海外投資を貫こう!

円安時代における資産運用戦略について考えるとき、為替レートの変動に左右されずに海外投資を続けることが重要です。日本に住んでいる私たちは、日常生活で円を使うため、円を持つことは当然のことですが、外貨を保持する必要性は必ずしも高くありません。特に、海外旅行や出張が少なく、日常的に日本国内で生活する場合には、外国通貨を持つことは必須ではないと言えます。しかし、海外資産への投資は非常に有益です。これには、単に円安による為替差益を期待するのではなく、海外資産そのものの成長を享受する目的があります。もちろん、投資時点での円安が進行し、外国通貨高が進めば、為替差益によって資産が増加する可能性もありますが、逆に円高や外国通貨安の場合には、資産が減少するリスクも考慮しなければなりません。世界経済は為替レートの影響を受けずに成長を続けています。IMF(国際通貨基金)の「世界経済見通し」によれば、ロシアのウクライナ侵攻や燃料・食料価格の上昇といった困難な状況にもかかわらず、2022年と2023年の世界経済成長率は3.6%と予想されています。これは、為替レートに関係なく、全体的に世界経済は成長していることを示しています。

現在、円安が進行していますが、将来的に円高局面が訪れた場合でも、積立投資を続けることで、より安価に海外資産を購入する機会が得られます。ドルコスト平均法を用いることで、価格が高い時に少なく、価格が低い時に多く購入することができ、結果として平均購入単価が低下します。この方法により、資産が値上がりした際に利益を得る可能性が高まります。既に海外資産に投資を行っている場合は、淡々とその投資を続けることが重要です。もしも将来、円高や株安によって資産が大きく下落する局面が訪れた場合には、ドルコスト平均法の効果を利用して多くの資産を安価に購入するチャンスと捉えると良いでしょう。
また、投資信託などの金融商品には「為替ヘッジあり」の選択肢もあります。為替ヘッジを利用することで、為替レートの変動による資産の増減リスクを抑えることができます。為替ヘッジにはコストがかかりますが、為替変動による損失を防ぐ手段として、検討してみる価値があるでしょう。