オトクに生きて勝ち組を目指す研究所

相次ぐ利上げで日本は「金利のある世界」に!預金・債券・株式との正しい使い分け

    

「現金を銀行口座に置いておくだけでは、お金は増えない」
資産運用を始めると、このような言葉を耳にする機会は少なくありません。長く低金利が続いた日本では、預金金利が極めて低く、物価が上昇すれば預金の実質的な価値が目減りするため、株式や投資信託などへの投資を検討することには一定の意味がありました。
しかし、2026年に入り、日本の金融環境は大きく変化しています。
日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げました。2025年12月、2026年6月に続く利上げで、政策金利は約31年ぶりの高い水準となっています。
遂に、日本は30年ぶりに「金利のある世界」になったということです。
一方、日本では物価上昇も続いています。総務省が9月18日に公表した2026年8月の全国消費者物価指数は、総合指数が前年同月比1.9%上昇、生鮮食品を除く総合指数は1.7%上昇しました。
こうした環境では、「とにかく現金を減らして株式に投資する」という考え方だけではなく、預金、債券、株式などをそれぞれの役割に応じて使い分けることが重要になってきます。
勝ち組を目指す人にとっては、現金をどの程度持っておくかが資産形成だけでなく、リタイア後の生活の安定性にも関係します。
そこで今回は、「金利のある世界」で現金、債券、株式はどのように使い分けるべきなのかについて、カチケン流に解説します。

「現金を持つ=資産運用していない」はもう古い?

これまでの日本では、銀行に預金していてもほとんど利息がつかないという状況が長く続いてきました。
そのため、資産形成を考える際には、預金だけではなく株式や投資信託などに資金を振り向けることが重要だと考えられてきました。
もちろん現在でも、長期的な資産形成を考えるうえで株式などのリスク資産には重要な役割があります。
しかし、金利上昇によって預金や債券の位置付けは少しずつ変わっています。
にわかに注目度が集まってきたのが、国債(国の債権=日本の借金)です。
2026年9月に募集されている個人向け国債では、「変動10年」の表面利率が年1.95%、「固定5年」が年2.24%、「固定3年」が年1.96%となっています。いずれも税引前の利率なので実際にはもう少し利回りが下がりますが1%を大きく下回っていた時期と比べると別世界です。個人向け国債は元本保証なので、きわめて低いリスクで1%、2%といった利回りが得られる時代になったということです。これにより、以前のように「現金や安全性の高い資産に置いておくと、ほとんど収益が得られない」という環境からは変化しています。
ただし、ここで注意したいのは、金利が上がったから預金だけで資産形成すればよいという意味ではないことです。
インフレの進行で物価が上昇すれば、100万円という金額そのものが変わらなくても、その100万円で購入できるモノやサービスは少なくなる可能性があります。
資産運用では、単純な「名目金利」だけではなく、「物価上昇率を考慮した実質的な価値」を見る必要があります。実質金利がマイナスだと、物価上昇に利回りが負けているので、この状態が長く続くとマイナスはふくらんでいきます。

預金・債券・株式はそもそも役割が違う

資産運用を考えるとき、「預金と株式のどちらがいいか」「債券と株式のどちらを選ぶべきか」という二択で考えてしまいがちです。
しかし、本来はそれぞれ役割が異なるので、比べても意味がありません。
預金(現金資産)の大きな役割は、すぐに使えるお金を確保することです。
生活費や突然の支出に備えるお金を株式で運用してしまうと、株価が下落したタイミングで現金が必要になった場合、含み損を抱えた状態で売却しなければならなくなる可能性があります。
一方、債券は、一定の利息収入を得ながら、株式とは異なる値動きをする資産としてポートフォリオの分散に利用できます。とはいえ、債券だから価格が変動しないわけではありません。
市場金利が上昇すると、既に発行されている債券の価格が下落することがあります。特に満期までの期間が長い債券ほど、金利変動による価格変動が大きくなる傾向があります。
そして株式は、企業の成長や利益拡大などを通じて長期的な資産成長を目指すための資産です。
その一方で、短期間では大きな価格変動が起こる可能性があります。
それでは、この3つを整理してみましょう。

預金=すぐ使うお金
債券=安定性や分散を意識するお金
株式=長期的な成長を目指すお金

というように、それぞれの役割を考えると資産配分を整理しやすくなります。

現金の重要な役割は「株を売らなくて済むこと」

意外に言語化されていない部分がありますが、現金を持つ意味を考えるうえで、非常に重要なのが暴落時の対応です。
例えば、1,000万円をすべて株式で運用していたとします。
株式市場が大きく下落し、資産が700万円になったタイミングで、突然300万円の支出が必要になったらどうでしょうか。
生活に今すぐ必要なお金なので、株価が戻るまで待つことはできません。
結果として、下落した株式を泣く泣く売却して資金を確保することになります。
これに対して、300万円をあらかじめ預金などで確保していれば、株式市場が下落していても、保有株を売却する必要はありません。
つまり、現金には単純に「値下がりしにくい」という役割だけではなく、「株式などのリスク資産を、悪いタイミングで売らずに済ませる」という重要な役割があるのです。
実はコレ、これは資産形成期だけでなく、カチケンが目指しているFIREを達成した後にはさらに重要になります。

FIREを目指す人ほど現金資産が重要になる理由

FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の略で、資産運用などによって経済的自立を実現し、早期リタイアを目指す考え方です。カチケンでは最終的にFIRE達成を目指しているので、読者の皆さんも同じでしょう。
FIREを目指す場合、多くの人は株式や投資信託などを長期保有して資産を増やし、リタイア後は資産を少しずつ取り崩して生活することを想定します。
ここで問題になるのが、FIRE直後の株価暴落です。
例えば、年間生活費が300万円の人が、5,000万円の金融資産を持ってFIREしたとします。
FIREした直後に株式市場が大きく下落すると、資産の評価額が大幅に減少します。
だからといって生活費が不要になるわけではないので、株価が下落しているからといって取り崩しを完全に止めることは簡単ではありません。
このような状況では、「資産が減る→不安になる→さらに株式を売る」という悪循環につながる可能性があります。筆者はこれまでに多くのFIRE経験者を見てきましたが、この不安から「卒FIRE」といって仕事を再開する人もいます。
そこで重要になるのが、生活費の一部を現金などで確保しておくという考え方です。
例えば、生活費の1~2年分を現金として確保しておけば、株式市場が大きく下落したとしても直ちに株式を売却する必要性を抑えられます。

FIRE=株式で運用は必ずしも正解ではない

もちろん、何年分の現金を持つべきかについて絶対的な答えがあるわけではありません。
住宅ローンの有無、年齢、収入、年金、家族構成、資産規模などによって必要な金額は変わります。
重要なのは、「FIRE=資産のほぼすべてを株式で持つ」と考えるのではなく、資産を取り崩しながら生活する段階まで含めて資産配分を考えることです。
重要なのは、バランスです。

金利上昇で債券にも注目しやすくなった

金利上昇局面では、債券にも注目が集まりやすくなります。本来は安全資産として知られているのですが、安全性が高い分だけ利回りが低く、特にこれまでの日本ではゼロ金利だったので、安全なだけで運用対象としての魅力は薄いといわれてきたわけです。
しかしながら、2026年9月には個人向け国債だけでなく、新窓販国債でも比較的高い利率が設定されています。
例えば、9月募集の新窓販国債では、2年債の表面利率が年1.7%、5年債が年2.2%、10年債が年2.7%となっています。
ただし、債券なら利回りが高くても安心と単純に考えるのは危険です。なぜなら、債券には発行体の信用リスクや金利変動による価格変動リスクがあるからです。
また、債券を途中で売却する場合、購入時より市場価格が下落していれば損失が発生するリスクもあります。
一方、個人向け国債は一般の市場取引される国債とは仕組みが異なり、例えば変動10年は半年ごとに適用利率が変わる商品です。
このように、「国債」という言葉だけで一括りにせず、商品ごとの仕組みを確認する必要があるのを押さえておいてください。

「株式100%」が必ずしも合理的とは限らない

長期的な資産形成では、株式を活用することに大きな意味があります。
特に若い世代の場合、運用期間を長く取れるため、短期的な価格変動を受け入れながら長期投資を行うという考え方があります。市場の動きに振り回されることなく運用ができるので、これは強いです。
一方で、資産を使う時期が近づいてきた場合は事情が変わります。
例えば、5年後に住宅購入の頭金として使う予定のお金を、株式だけで運用していたらどうでしょうか。5年後に株式市場が下落していた場合、予定していた資金が不足して予定が狂ってしまう恐れがあります。
つまり、資産運用では「何に投資するか」だけでなく、いつ使うお金なのかを考えることが重要なのです。これを筆者はお金の「足の長さ」と呼んでいます。
10年以上使う予定がない資金と、半年後に使う予定の資金では、同じ1,000万円でも運用方法が違うと考えるべきなのです。

資産を3つの財布に分けて考える

資産運用をシンプルに考える方法として、お金を使う時期で3つに分ける方法があります。この3つは、以下の通りです。

1.生活防衛資金

病気や失業、突然の大きな支出などに備えるお金です。
すぐに引き出せる預金などを中心に考えます。

2.近い将来に使うお金

住宅購入、教育費、車の購入、旅行など、数年以内に使う予定がある資金です。今すぐ使う予定はないけれど、いつか使うことになるお金です。
元本割れによって使いたいときに金額が不足するリスクを抑えることが重要になります。
預金や比較的価格変動の小さい商品などを中心に検討します。

3.長期運用するお金

当面使う予定がなく、10年以上先の資産形成を目的とするお金です。一般的に資産運用の世界では余剰資金と呼ばれています。
株式や投資信託など、価格変動のある資産も選択肢になります。
このように考えると、現金をいくら持つべきかという問題を、単純な割合だけで決める必要がなくなります。

「1,000万円あったらどうする?」を考えてみる

ここで、金融資産1,000万円を保有している人を想定して考えてみましょう。
すべてを預金に置けば、価格変動リスクは抑えられます。
しかしその一方で、インフレが続けば実質的な購買力が低下する可能性があります。額面の金額は変わっていなくても、そのお金で買えるものが少なくなります。これがインフレの恐ろしさです。
逆に、1,000万円をすべて株式に投資すれば、長期的な資産成長を期待できる一方、市場環境によっては資産価値が大きく変動します。
そこで、「預金+債券+株式」という形に分散する考え方があります。
例えば、生活防衛資金や数年以内に使う資金を預金などで確保し、一定期間使う予定のない資金については債券や株式などに振り分ける方法です。
もちろん、「預金30%、債券30%、株式40%」のような固定的な正解があるわけではありません。
年齢や収入、住宅ローン、家族構成、投資経験、資産を使う時期によって適切な配分は変わります。
大切なのは、資産配分の数字そのものよりも、「このお金は何のために持っているのか」を明確にすることです。

金利が上がっても株式はこれからも鉄板

日本の金利が上昇したことで、これからは預金や債券だけでも十分なのではないかと考える人もいるでしょう。しかし、金利上昇は株式投資の必要性をなくすものではありません。
2026年8月の全国CPIは総合で前年同月比1.9%上昇しています。
仮に物価が長期的に上昇すれば、現金の額面は変わらなくても、購入できる商品やサービスの量は少なくなります。つまり現金の価値が目減りします。
そのため、生活防衛資金など短期的に必要な資金は安全性を重視しながら、一方で長期的な資産形成では株式などの成長資産を組み合わせるという考え方が重要になります。
つまり、預金か株式かの二択ではなく、預金も株式も、それぞれの役割に応じて持つのが正解です。

まとめ

日本では長い間、超低金利環境が続いてきました。マイナス金利の時期もあって、その時期は債券を買うと買った側が金利を支払うという謎の状況が現実になっていました。
そのため、現金は持ちすぎず、できるだけ運用に回すという考え方が正解とされてきました。
社会人になった時からずっとゼロ金利しか経験していない人にとっては、「金利のある世界」なんて想像できないかもしれません。
しかし、2026年9月には日銀の政策金利が1.25%程度となり、個人向け国債などでも以前とは異なる水準の利率が見られるようになっています。
もちろん、政策金利が上がったからといって、すべての預金金利が同じ幅で上昇するわけではありません。また、物価上昇率や税金なども考慮する必要があります。
それでも、資産運用を考える際に現金はただ眠っているだけという見方だけでは、現在の金融環境を十分に捉えられなくなっています。
現金には、急な支出に対応する機能があります。預金には、元本割れを避けながら待機資金を置く機能があります。
債券には、利息収入を得ながら株式とは異なる値動きをする資産としての役割があります。そして株式には、長期的な資産成長を目指す役割があります。
この4つを明確に区別することが、これからの資産運用では重要になってくるでしょう。
特にFIREを目指すカチケン勢にとって、、重要なのは最も高いリターンを狙うことだけではありません。
資産を増やす時期、資産を守る時期、資産を使う時期。
それぞれの段階に応じて、預金・債券・株式の役割を変えていく。
「金利のある世界」では、こうした時間軸を意識した資産運用が、これまで以上に重要になりそうです。